研究実績の概要 |
・便秘症は腹部膨満感や腹痛など不快な症状を呈し、要介護高齢者に高率にみられる。特に、腹部膨満感がガスによるものか便によるものかは治療を要する便秘かどうかの判断に重要であるが、腹部触診や問診ではその区別は困難であり、適切なケアを提供できていない現状がある。そこで、申請者は利便性と安全性を兼ね揃えた超音波画像装置を用いて大腸を可視化し、大腸内部をアセスメントすることでこの問題の解決を目指す。本研究では、要介護高齢者を対象とし、超音波画像装置を用いた適切な排便ケア方法の確立を目的とする。 ・調査方法:便秘期間の短縮、快適な排便、排便回数の減少、不要な酸化マグネシウム投与の減少をアウトカムにした横断観察研究。超音波画像を取得し、患者より排泄されたものの性状との関連をみる事で、得られた画像がどちらを示しているのかを確認する。 対象者:要介護高齢者で、担当医にて便秘症と診断された75 歳以上の男女50 名を対象とする。調査内容:対象者の属性として、性別、年齢、日常生活自立度、併存疾患を調べる。排便障害に関して、既往歴、排便の頻度、下痢症状の有無、および排便方法について調べる。下剤内服者については下剤の種類を収集する。排便状態に関連する要因として、食事量、水分摂取量、離床時間、座位保持能力、便意の有無について調査する。 ・超音波画像の撮影方法:超音波画像の撮影部位は, 上行結腸,横行結腸,下行結腸, S状結腸, 直腸の5 カ所とする。また、超音波画像による便性状の評価は、硬便、軟便、正常に分類する。 ・結果:下行結腸, S状結腸, 直腸の3カ所から得られた超音波画像から硬便、軟便、正常に便性状を評価し分類することが可能であった。よって、排便困難な患者にエコーを行うことで、適切な排便ケア(下剤、浣腸、摘便、坐薬)、便秘日数の短縮、薬剤の減少による排便を行うことが可能ではないかと考える。
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