研究課題/領域番号 |
16K12243
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
大森 眞澄 島根県立大学, 看護学部, 准教授 (20437552)
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研究分担者 |
石橋 照子 島根県立大学, 看護学部, 教授 (40280127)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 児童・思春期ケア / 看護師 / 精神看護 / 情動知性 / ナラティヴ / グループアプローチ |
研究実績の概要 |
研究課題:「児童・思春期ケアに活かす看護師のための情動知性の育成モデルの開発」のため、平成29年度には、近隣および関東圏の児童・思春期精神科病棟に勤務する看護師に対象を広げてインタビュー調査を実施した。さらに、平成28年度から蓄積されたデータの内、児童・思春期精神科看護の経験年数が3年以上ある6名の女性看護師の語りに焦点を当てて質的記述的に分析した。結果、児童・思春期精神科病棟における困難な状況下での看護師の感情体験には、6のカテゴリ【子どもの言動に対する当惑感】【子どもを脅かすという不安の払拭】【特別な子どもだと思える関係性】【受けもちとしての重責感】【子どもの求めに応じきれなさ】【規範を重んじる】と17のサブカテゴリが抽出された。児童・思春期精神科病棟に勤務する看護師は、【子どもの言動に対する当惑感】を抱くが、強い受け持ち意識がはたらき、徐々に【子どもを脅かすという恐れの払拭】がみられた。この子どもは、特別だと思える感情が沸き立つことで【特別な子どもだと思える関係性】の構築に繋がっていた。一方で、子どもの問題行動がエスカレートする場面を目の当たりにして、【受けもちとしての重責感】になっていた。また、看護師は、【子どもの求めに応じきれなさ】という割り切りや病棟では、【規範を重んじる】ことが子どもを守ることにつながるという認識をもっていた。これらの感情体験は、母子関係の投影や子どもの精神の発達過程と密接な関係を示すと考えられる。この分析結果に、集積されたデータの分析を加え、児童・思春期ケアに活かす看護師の関わり場面のDVDを作成し、情動知性の育成に寄与できるモデルの開発に向かう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一段階の調査は完了した。データ分析と論文作成に時間を要したが、児童・思春期精神科病棟における困難な状況下での感情体験は明らかにできた。しかし、大学内の多重課題によって、困難な状況を可視化するDVDの作成が遅れた。平成30年8月までに、DVDの作成を完了させ、児童・思春期精神科病棟に勤務する看護師と意見交換し、最終段階である情動知性の活用モデルを開発する。
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今後の研究の推進方策 |
児童・思春期精神科病棟における困難な状況下での看護師の感情体験のDVDを作成するために現在シナリオの考案を行っている。DVDの完成後、速やかに児童・思春期精神科病棟で視聴してもらい、グループアプローチを行い、看護師が何を感じ、どのような「自己対応」「対人対応」「状況対応」を得るのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) データ分析は順調に遂行できたが、社会貢献事業が重なり、続けて行う予定であったDVD用のシナリオ作成に時間を要した。 (使用計画) 児童・思春期ケアに活かす看護師のための情動知性の育成モデルDVD計4編の作成費に計45万円を見積もっており、平成30年7月に2編、8~9月に2編作成予定である。現在DVDの作成日程は調整済みである。次年度請求額と合わせてDVD作成および学会発表費に当てる。
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