研究実績の概要 |
本研究の目的は,精神障がい者の地域移行・地域定着にむけた多職種恊働によるアウトリーチチームの効率的な支援を目指して,対象の課題や多様なケア等を可視化し調整する地域ケア連携システムを開発することである.精神障がい者の地域移行・地域定着にむけた地域ケア連携システムを開発することにより,多職種恊働によるアウトリーチチームの多岐にわたる支援の質の向上とともに,関係機関のネットワークの充実が図れ,効率的なサービスと途切れない支援提供のための地域ケアの質向上が期待できる. 平成30年度は,地域ケア連携システムを構築するにあたり,多職種によるアウトリーチ実践力を評価する精神障がい者アウトリーチ実践自己評価尺度を考案し,信頼性・妥当性の検証に向けて全国調査を実施した. 全国のアウトリーチ支援を行っている関連施設に所属する多職種を対象として1661部配布し, 237人(回収率14.2%)から回答が得られた. 多職種チームにおける精神障がい者アウトリーチの実践について自己評価の指標を開発し,その信頼性・妥当性について検討した結果,3因子構造【多職種チーム内における支援計画の遂行】,【対象者の生活機能の把握】,【対象者に寄り添う支援】の19項目で構成された. Cronbachのα係数は許容範囲であり,外的基準として用いた尺度と本尺度は有意な相関関係であることが示され,構成概念は先行研究に裏付けられていると確認したことから,本指標の信頼性・妥当性は検証された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域ケア連携システムを構築するにあたって, その評価指標となる多職種によるアウトリーチ実践力を評価する精神障がい者アウトリーチ実践自己評価尺度を考案し,信頼性・妥当性の検証に向けて全国調査を実施した.しかしながら,そこで得られた知見を基に地域ケア連携システムを考案することまでは本年度中に至らなかったため,より現場のニーズに即した知見が得られるよう,引き続き情報収集・データ分析を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
地域ケア連携システムを構築するにあたって,その評価指標となる多職種によるアウトリーチ実践力を評価する精神障がい者アウトリーチ実践自己評価尺度を考案し,信頼性・妥当性の検証に向けて全国調査を実施した.しかしながら,そこで得られた知見を基に地域ケア連携システムを考案することまでは本年度中に至らなかったため,より現場のニーズに即した知見が得られるよう,引き続き情報収集・データ分析を継続するための,旅費,人件費,物品費が必要となった.
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