研究課題/領域番号 |
16K12246
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
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研究分担者 |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 教授 (30336284)
濱口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
甲斐 和歌子 大分大学, 医学部, 助教 (10761562) [辞退]
小野 光美 大分大学, 医学部, 助教 (20364052)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知症 / 後期高齢者 / がん / 人生の最終段階 / 在宅医療ケアチーム |
研究実績の概要 |
平成29年度は、在宅で生活する認知症を有する後期高齢終末期がん患者に対する医療・看護・介護の実際と看護ニーズの明確化を目的として取り組んだ。 在宅医療専門クリニックの医師および看護師や訪問看護ステーションの看護師の訪問同行(参加観察)と半構成的面接により、後期高齢がん患者への医療・看護の実際を調査した。調査事例は、80代後半から90代の消化器がん患者3名、呼吸器がん患者2名、認知症の程度は5名ともFASTの分類ステージ4~6であった。研究者による参加観察および半構成的面接により、在宅診療医の役割について3点明らかになった。1点目は、医師は症状コントロールだけではなく、訪問時に家族や医療ケアチームに対して病状や今後の経過を含めた合意形成を行うこと。2点目は、患者の病状変化に応じて揺れ動く家族の気持ちを受け止め、一度意思決定した内容であっても変更しても良いことをはっきりと伝え保証すること。3点目は、最期まで患者を看取るという覚悟を持ち、患者の希望を叶える使命と責任感を持つことであった。また、在宅医療ケアチームの役割として5点明らかになった。1点目は、単純な日常生活を丁寧に行えるように支援すること。2点目は、最期を看取るのは家族だという意識を持ち、家族の成長を促すこと。3点目は、家族に対する安心感の提供。患者の生活の視点から聞き取り家族も含めて一緒に看ること。4点目は、安全、安楽の確保と保持。5点目は治癒困難な疾患に対してどのようにチームで立ち向かうかを考え続けることである。 以上の結果および実態調査から、次年度は引き続き事例を追いながら看護師のケアマネジメント(症状マネジメントと倫理的意思決定)とその時の判断や迷いを主調査内容とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、在宅で生活する認知症を有する後期高齢終末期がん患者に対する医療・看護・介護の実際と看護ニーズの明確化を目的として、以下の2つの方法を実施する予定であった。①特定の在宅医療専門クリニックの医師および看護師や訪問看護ステーションの看護師、薬剤師の訪問に同行(参加観察)と半構成的面接により、後期高齢がん患者への医療・看護の実際を調査する。②在宅での生活をケアマネジメントする看護師免許を持つ介護支援専門員を対象に、半構成面接調査法により利用者が自分らしく生きることを支えるマネジメントの実際と課題を調査する。 1つ目の同行訪問による参加観察については、現在進行中も含め5件の対象者への継続的な訪問と医療従事者への半構成的面接を行い、後期高齢がん患者への医療・看護の実態調査を行った。しかし、2つ目の介護支援専門員への調査は、対象者の選定に時間を要し実施に至っていない。そのため、次年度早々に対象者に調査依頼を行い、実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、在宅で生活する認知症を有する後期高齢がん患者が人生の最終段階まで自分らしく生きることを支える看護のモデル化を目的とする。平成28年度と29年度に調査した5事例中2事例をとおして、在宅で生活する認知症を有する後期高齢がん患者が人生の最終段階まで自分らしく生きることを支える看護師のケアマネジメント(症状マネジメントと倫理的意思決定)の具体を明らかにする。その結果をもとに、在宅医療専門医、訪問看護認定看護師やがん看護専門看護師、介護支援専門員、老年看護学およびがん看護学の研究者と看護ケアをモデル化する。 昨年度までに研究協力機関と研究対象者の承諾を得ており、臨床からの具体的な助言や本研究テーマを専門とする研究者からのディスカッションも実施可能な体制であるため計画どおりの遂行を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研究協力機関以外にも研究協力が得られたため、調査費用が予算より減額したため。また、研究対象者の選定に時間を要し、昨年度の研究活動にかかる費用が余剰した。
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