本研究は総合病院の看護師によるアルコール使用障害(AUD)のスクリーニング、簡易介入と紹介(SBIRT)に関して、主にAUDの概念とAUDIT-CおよびAUDITを用いたスクリーニング法を学習し、リエゾンナースを仲介した専門医療への紹介と介入の試みの結果および課題を明らかにした。 2019年1月に、研究協力機関(総合病院)の倫理委員会の承認を得て、看護師を対象としたSBIRTに関する講習を実施し、2~4月に入院患者のスクリーニングと適切な介入(リエゾンナースを仲介した精神科医への紹介、リエゾンナースの介入)を試みた。スクリーニングの対象は、緩和ケア病棟を除く一般病床の入院患者とし、2泊3日以内の入院およびコミュニケーションが困難な患者は除外された。AUDIT-C4点以上の患者にはAUDITを実施し、AUDIT8点以上の患者にはスクリーニングを実施した看護師がリエゾンナースの介入を推奨した。 その結果、意識障害や重症者などスクリーニングが困難な患者を除く651名がAUDIT-Cによるスクリーニングを受け、過剰な飲酒者に該当するAUDIT-C4点以上の患者は138名(21.2%)であった。AUDIT-C4点以上の患者のうち、アルコール使用障害の可能性があるAUDIT8点以上の患者は51名(7.8%)、アルコール依存症の可能性があるAUDIT15点以上の患者は19名(2.9%)であった。AUDIT8点以上の患者のうち7名が介入を希望し、短期入院で介入できなかった患者2名と他院でアルコール依存症の治療を受けている患者1名を除く4名(AUDIT平均22.3点)が介入を受けた。介入された4名のうち2名がアルコール依存症と診断され、精神科クリニックに紹介された。 今後の課題として、スクリーニングやフィードバックの時期と年齢や動機の状況に合った介入法をさらに検討する必要があると考えられた。
|