研究課題/領域番号 |
16K12254
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
彦 聖美 金城大学, 看護学部, 教授 (80531912)
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研究分担者 |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 男性介護者 / 家族介護者 / 当事者の会 / ソーシャル・キャピタル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第一号被保険者を介護する男性介護者のソーシャル・キャピタルの特徴を明らかにし、その特徴を加味した健康支援のあり方を検討することである。 平成28年度は、全国の男性介護者の会の概況と、男性介護者の会の代表者からの予備的なヒアリングを基に、ソーシャル・キャピタルに関連する現状を把握した。全国の男性介護者の会は、①Web情報、②男性介護者支援のネットワークからの情報、③マスコミ報道から把握し、その後は、機縁法により雪玉式にグループを探し出した。その結果、活動実態が確実に把握できた会は50グループであった。そのうち、自主グループは13グループ、事務局・連絡先が行政組織や社会福祉協議会である会が21グループ、NPOおよび福祉・介護施設である会が10グループ、認知症の人と家族の会の都道府県支部である会が6グループであった。その中の5グループの代表者から、会の活動の実態(活動頻度、活動内容等)、本人およびメンバーのネットワークの様子等をヒアリングした。 その結果、グループ活動により、①精神的な安定の効果(悩みの共有、理解し合える、励まし合える、前向きにになれる、辛さが軽減する等)、②交流の効果(様々な人との出会いがある、交流の場となる、仲間意識・連帯感が芽生える、全国的に交流が広がる、意見交換の機会が増加する等)が把握できた。一方、個人レベルでは、親戚や友人等との疎遠化や交流の難しさ、ご近所付き合いの難しさ、地域住民との交流の希薄さ等が把握できた。 ソーシャル・キャピタルは、個人・職場・地域レベルの要因が影響すると共に、文化・社会・経済学的要因の影響を受けることが予想される。次年度は、男性介護者個人のソーシャル・キャピタルの特徴を、量的な評価から詳細に把握し、介護破綻の予防に向け、健康支援の方向性を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、全国の男性介護者の会の網羅的な把握が予想以上に時間がかかり、また、その活動実態の把握にも時間を要した。そのため、年度内の実施を予定していた男性介護者の会のメンバーに対する質問紙調査が実施できなかった。現在、質問紙調査の実施に向けて準備中であり、次年度の実施に関して大きな問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、①男性介護者の会のメンバーに対するソーシャル・キャピタルを把握するための郵送法自記式質問紙調査の実施と、引き続いて②地域に在住する介護者(男性及び女性)に対するソーシャル・キャピタルを把握するための郵送法自記式質問紙調査を準備し、実施していく予定である。結果は速やかに公衆衛生関連及び在宅ケア関連の学会や学術雑誌において公表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施を予定していた男性介護者の会のメンバーに対するソーシャル・キャピタルを把握するための郵送法自記式質問紙調査の実施が遅れたため、その実施に係る予算、その依頼等に係る旅費に関して、次年度へ繰り越す使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、男性介護者の会のメンバーに対するソーシャル・キャピタルを把握するための郵送法自記式質問紙調査の実施と、同時に、地域に在住する介護者(男性及び女性)に対するソーシャル・キャピタルを把握するための郵送法自記式質問紙調査の準備を開始する。その実施に係る費用、および結果の分析等に必要な当事者や研究者との意見交換、さらに広範な文献データベース、書籍情報、諸外国の男性介護者支援等による、網羅的な情報収集と成果の公表等のための経費と旅費を予定している。
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