研究課題/領域番号 |
16K12266
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
竹生 礼子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (80433431)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 在宅がん療養者 / 生活支援 / 住民参加 / 在宅ホスピスボランティア |
研究実績の概要 |
本研究は、先の研究で開発した「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援システム」をもとに人口規模の異なる2地域を選定し、システムに示された手順通りにプロジェクトを進めるものである。2地域においてがん療養者に住民による生活支援を実施し、「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援システム」の有効性を評価する計画であった。研究は次の3段階にわたり行うものである。 第1段階:介入モデル地域の特性・関係者(stakeholder)に対する調査。 第2段階:コアメンバーによるプロジェクト検討会の開催、計画。 第3段階:プロジェクトの実施(住民への啓発、支援住民の養成、住民グループの組織化) 当初より、実際のプロジェクトグループ構成および行政への説明が遅れたこと、協力住民の慎重な姿勢が強いことから計画の進行が遅れていたが、加えて、新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受けて、住民が集まること、住民が在宅療養者の生活スペースに赴いて、支援を行う特殊性のある本研究は中断している。実際のプロジェクトの展開は、新型コロナウィルス感染症の収束以降に行うこととなり、実施、評価にはより時間を要することとなった。在宅がん療養者に住民が生活支援する上での期待と躊躇の変化をプロジェクトの評価指標として用いるために評価尺度を作成すること、プロジェクトを地域特性に合わせて実施するためのガイドラインを作成する準備を行った。具体的準備として、評価指標のための調査項目の選定、ガイドラインに表記するためのこれまでの研究およびプロジェクトで実践した内容の集約を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初より、計画の進行が遅れていたが、加えて、新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受けて、住民が集まること、住民が在宅療養者の生活スペースに赴いて、支援を行う特殊性のある本研究は中断せざるを得なかった。2020年度で研究期間は満了になるが、第3段階のプロジェクト実施は期間中に完了することが難しくなった。研究期間を1年延長し、北海道内の人口中規模地域、人口1万人未満町村を各1か所に対する、地域特性・住民に調査を行うこととした。また、研究のゴールを、在宅がん療養者に住民が生活支援する上での期待と躊躇について、調査結果を基に活動の評価指標とプロジェクト実施を図るためのガイドライン作成ための計画再立案を行った。 調査項目は①療養者・家族のQOL・介護負担の懸念・不安、②支援に参加した住民のがんの療養者への支援に対する躊躇・在宅療養のイメージ、支援提供に対する満足感、③関係専門職(訪問看護師等)からみた住民参加に対する期待と躊躇とした。 2地域のうち、これまでに人口約17万人のA市においては、「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援」の意義・有効性について市民に向けた啓発活動を2019年度までに行った。しかし、人口1万人未満の人口小規模地域では、関係者との話し合いの段階(第1段階)にとどまった。 第3段階の、各介入エリアの評価、評価の総括:システムの全体の評価、考察、学会発表・報告書作成 論文発表を2021年度に持ち越すこととした。 「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援システム」の評価から、地域特性に寄らず普遍的に重要となる要素と、地域特性に合わせた運用方法についてのガイドラインを次年度に作成するために、これまでの研究結果・プロジェクトの成果を集約した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し、研究のゴールを、在宅がん療養者に住民が生活支援する上での期待と躊躇について、調査結果を基に活動の評価指標とプロジェクト実施をするためのガイドライン作成とする。 1)「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援システム」の有効性を評価するための指標を以下の項目で作成する。①療養者・家族のQOL・介護負担の懸念・不安の変化、②支援に参加した住民のがんの療養者への支援に対する躊躇・在宅療養のイメージの変化、支援提供に対する満足感、③関係専門職(訪問看護師等)からみた評価等。2地域にて住民、療養者、サービス提供者に調査を行い、結果をもとに評価指標を作成する。 評価指標を作成するために、住民・サービス提供者等を対象に調査を行う。調査項目は①療養者・家族のQOL・介護負担の懸念・不安、②支援に参加した住民のがんの療養者への支援に対する躊躇・在宅療養のイメージ、支援提供に対する満足感、③関係専門職(訪問看護師等)からみた住民参加に対する期待と躊躇とする。 2)これまでのプロジェクト及び研究の成果を集約し、「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援システム」の地域特性に寄らず普遍的に重要となる要素と、地域特性に合わせた運用方法を検討する。「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援システム」を地域特性に合わせて展開するためのガイドラインを作成する。 2地域のうち、人口約17万人のA市においては、「在宅がん療養者に対する住民参加型生活支援」の意義・有効性について市民に向けた啓発活動を再開する。人口1万人未満の人口小規模地域では、関係者との話し合いの段階(第1段階)にとどまっているため、プロジェクトの障壁となる要因について記述をする。システム の全体の評価、考察、学会発表・報告書作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、研究・プロジェクトが進行しなかった。研究期間を1年延長し、郵送調査の実施、プロジェクトのガイドライン作成、ガイドラインの冊子化、報告書の作成を行うため、次年度に経費を要する。
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