研究課題/領域番号 |
16K12272
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
柴田 滋子 淑徳大学, 看護栄養学部, 助教 (90622077)
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研究分担者 |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
根岸 貴子 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (40709250)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / 困難感 / 業務特性 |
研究実績の概要 |
訪問看護師13名を対象に半構造化インタビュー調査を行った。その後逐語録を作成し、一文脈一単位として、訪問看護師が認識する病院看護との違いに関するデータを抽出後、意味内容の類似性によりカテゴリー化を行った。 対象者の年齢は36歳~60歳、訪問看護経験は2年~17年、職位は管理者5名、主任2名、スタッフ6名であった。訪問看護師が認識する病院看護との違いにおいて、4つの『カテゴリー』と15の「サブカテゴリー」が抽出された。『一人での訪問』は、「移動の負担」から体力や健康状態の維持が必要である。また訪問場面では「これまでの知識や経験を活かした判断力」が求められるが、個人の限界もある中で、適宜学習しながら看護に取り組む「自己研鑽」と「多職種連携」の必要性を感じるとともに「1対1の関わり」への魅力も多く語られていた。『限られた時間』の中で、「時間調整」をしながらケアを行い、初期の頃は「訪問終了後の不安」を強く感じる者もいた。また「緊急対応」当番時にはいつ電話が鳴るかという緊張感と遠くに出かけられないなど生活行動の制限や家族への影響が懸念されていた。『本人・家族が主体』では、「それぞれの生活に合わせたケア」を考えながら、「本人の意思決定」を尊重した関わりから「本人・家族との信頼関係」を築く努力を行っているが、時には「訪問を拒否」されることも起こり得る。『環境が不十分な状況』では、「物品の不足」はあるが工夫しながら代用していること、「スタッフが少ない」ため休みが取りづらい状況や「管理業務」の煩雑さ等が語られていた。 訪問看護師は看護の提供場面において、医療者は自分1人であることに不安になる者もいたが、逆に看護師の裁量権が広くやりがいを感じている者もいた。またチームで支えていることに変わりはないため、情報を伝える力、連携力を高めていくことで個人の困難感は軽減できるのではないかと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では対象者の目標を20名としていたが、13名の分析が終了した時点でインタビュー内容から飽和してきたことが考えられ、最終的には16名で終了した。
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今後の研究の推進方策 |
訪問看護師へのインタビュー内容から、訪問看護の業務特性を明らかにする。明らかになった業務特性を説明変数として、キャリアコミットメントとの関連を明らかにするための分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に研究成果を学会で発表する際の費用として、研究分担者1名分を計上していた。しかし登録期限までにデータをまとめることが間に合わなかったため、平成29年度の国際学会への発表に変更した。そのため次年度へ繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者と今年度の計画について確認し、調査・分析費用、発表費用として使用する。
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