今年度は、6名の対象者(うつ病患者の看護に活かすマインドフルネスの研修に参加し、研究への協力が得られた精神科病院の看護師)のインタビューデータを、グランデッドセオリー・アプローチ法を用いて分析した。その結果、研修参加後も、全員がマインドフルネスを自身の心を落ち着けるために活用しており、実践し自身が心の余裕を持つことで仕事にも役立っている状況があった。また、仕事で対象者に実際にマインドフルネスを用いていたのは、精神科デイケアのスタッフと精神科開放病棟のスタッフ2名であった。デイケアでは、≪幅広い特徴のメンバー≫で、「マインドフルネスやりますと言うと反応するメンバー」もいる状況で、≪週1回の体操のプログラムでの実施≫がされていた。「リラックスしましょうという声かけ」でボディースキャンなどを行ってみると、「一生懸命集中してやってくれるメンバー」の姿があり、≪意外だったプラスの評価≫が得られていた。参加したメンバーの疾患は、「うつ病」に限らず、「統合失調症」や「認知症」も含まれていた。 精神科開放病棟のスタッフは、うつ病の患者に食べる瞑想を試みていた。≪イライラしている時にガムをかむ患者さん≫に、イライラしてきた際に≪ガムをかむ動作に意識を向けてみましょうという説明≫をしてやってもらったところ、体験後≪すごくよかったという反応≫があり、その後も継続してくれたようだと語られていた。どちらのスタッフも、タイミングや、業務の中で時間や場所がなかなかとれず、対象者にマインドフルネスを継続して実施することの難しさが語られていた。 看護師は研修に参加し、「無意識に何かに追われている日常」に気づき、日常生活の中でマインドフルネスが「自然にふっとできるようになった変化」があり、そのような体験が、自分自身を通して相手を捉え、関係性の中で支援していく精神科の看護に活用されていることが示唆された。
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