研究課題/領域番号 |
16K12280
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
郷良 淳子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (40295762)
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研究分担者 |
石井 英子 人間環境大学, 看護学部, 特任教授 (50367695)
山本 純子 人間環境大学, 看護学部, 准教授 (50413422)
松浦 利江子 人間環境大学, 看護学部, 准教授 (50535995)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 精神障害者 / 訪問看護 / 身体疾患 / 困難感 / web上相談支援 |
研究実績の概要 |
これまでの研究における精神科に特化しない訪問看護ステーション(以下非特化型ステーションとする)の看護師の精神的な問題を有する利用者への困難を質問紙調査および半構成面接のデータを分析した。質的研究では、特化型ステーションの利用者が精神科受診歴のある人に比べ、非特化型では、高齢により抑うつなどの精神症状を有した人、精神症状がありながら精神科にかかっていない人、精神疾患を有しかつ身体疾患のケアのニーズが高い人などが多く、利用者の特徴に大きな違いがみられた。質問紙調査で抽出された訪問看護師のケア困難感の5因子、「不安」「サポート体制」「療養者支援困難感」「家族への困難感」「経済負担」と質的研究における困難はほぼ同じであった。しかし、利用者の特徴が従来の精神保健サービスだけでは対応できない可能性があり、これまで以外の支援の道筋を作っていかねばならないことが明らかになった。 具体的には、精神科への紹介が困難なケース、精神科への紹介が必要ではないケース、身体疾患を併せ持つ精神疾患患者の精神状態のアセスメント、地域生活機能のアセスメントの必要性とそれに基づくケアの抽出が必要である。さらに必要な地域精神保健サービスの明確化とサービス導入の方略の必要性が明らかになった。 一方で、非特化型ステーションの訪問看護師の困難には、精神症状を呈する人への関わりに心理的障壁があることも示唆され、これがさらに困難を大きくしていた。 これらすべてをより具体的に明らかにし、訪問看護師の相談支援、連携支援を可能にするwebサイトを作成し、非特化型ステーションの訪問看護師の精神的問題を有する利用者への看護の総合的な支援を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非特化型訪問看護ステーションが抱える精神的問題を持つ利用者の特徴が、これまで地域精神保健機関が対応してきた精神障害者と特徴が異なっていることが明らかとなった。そのため非特化型ステーションの看護師がサポートして相談したい内容に対応できそうな地域精神保健専門職へのアクセスが困難であったため、非特化型ステーションの看護師が抱える利用者への対応に関した内容を答えられる研究参加者を見つけだすのに時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで明らかになった、非特化型ステーションの精神的な問題を持つ利用者への具体的対応事例の分析を行い、精神状態、生活能力等のアセスメントの視点、地域精神保健サービスの明確化と導入の具体的方策を明らかにする。これらの事例を提供し、対応に苦慮している非特化型ステーションの看護師への相談、関連職種との連携サポートができるwebサイトを立ち上げる。web上の相談と支援を分析し、web上の相談支援、教育についての評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究により、非特化型訪問看護ステーションの精神的問題を有する利用者への訪問看護の困難感がかなり明白にわかった。さらに地域の精神保健関連施設との連携も困難であった。このことから、看護師が相談や支援を受けやすく、知識も得られるwebサイトが不可欠である。 しかし、このwebサイト作成の際、もともとは研究者自身で制作する予定であったが、 相談の回答を書き込める人数が多数になること、多機能であれば、より相談者が求める支援ができると考え、専門業者に制作を委託することにした。この金額が高額になったため、30年度と2019年度の助成金を使う必要がある。そのため使用計画を変更した。
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