研究実績の概要 |
今年度は初年度で、在宅で療養する認知症の人の生活リズム障害と行動心理症状の軽減に向けた看護支援プログラムについて最新の研究成果を考慮して再考するため、文献検討を中心に行った。 認知症の人の睡眠障害への看護について、dementia, elderly, insomnia, home-care, nursingをkey-wordsにPubMedで2000年以降の文献を検索した。49文献は、大半が施設入所者を対象とし、在宅療養者の場合には介護者の負担感軽減を主たる介入目的としていた。介入方法は、高照度療法、非薬物療法、マッサージや音楽等の代替療法であった。 米国の先行研究によると、睡眠障害の出現頻度は、アルツハイマー型に比べてパーキンソン病認知症とレビー小体型が有意に高く障害が重度、後者は発症に先行して睡眠障害が生じ、レム睡眠行動障害、レストレスレッグス症候群、日中傾眠、睡眠関連こむら返り等の随伴症状の頻度が有意に高い一方、前者は、進行に伴い睡眠障害が出現することがわかっている。また、睡眠の特徴として、レビー小体型の2割にレム睡眠期の消失や睡眠潜時の短縮を生じやすいが、アルツハイマー型では、レム睡眠期が存在し睡眠潜時の短縮は認知機能障害の進行と関連する。これらは、家族からの情報収集や睡眠測定結果を分析する際に考慮すべき知見である。また、アルツハイマー型では、夜間の問題行動と高度の認知機能障害や閉塞性睡眠時無呼吸症候群との関連が指摘されている。本研究の実施に際しては、対象者をアルツハイマー型に限定し、家族の観察事項に日中の過眠や夜間の無呼吸症候群の有無を加えることとした。 年度内に研究計画が所属機関の倫理審査委員会にて承認されたため、29年度は、関係機関あて対象選定を依頼し、パイロットスタディに着手する計画である。
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