本研究の目的は、入院・入所から家族介護者の介護能力を高める「介護者のためのエンハンスメント・プログラム」活用による在宅療養支援とその評価を行うことである。そこで、「心配事の解消」「食事の介護」「暮らしのリズムを整える」「最期の意思を支える」に加え「認知症と上手く付き合う」のプログラムを実施予定として研究に着手していた。プログラムの実施に向け、プログラムの実施やファシリテーターの育成を遠隔でできるよう、また、実施後のアンケートもインターネットで回答できるよう検討した。神戸女子大学・神戸女子短期大学人間を対象とする研究倫理委員会での承認を受けた(承認番号2021-22-1)。対面で介護領域プログラムを開催する場合では、感染対策の配慮を行い実施を計画した。研究場所も、神戸市内の地域福祉センター等に研究協力者の募集をしたが、感染急拡大により複数の対象者を集めることができず、遠隔(リモート:ZOOMを利用)で介護領域プログラムを開催することも計画しネット環境も整えたが、コロナウイルス感染症の影響により、対象者の募集にまで至らなかった。 2022年3月中旬すぎより、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置の解除により、徐々に高齢者の健康相談等の集まりも行われるようになってきたため、再び、フィールドである地域福祉センターの認知症高齢者の家族介護者等に参加の呼びかけをした。その結果、老々介護の経験を持つ4名の介護者がプログラムを受講し、介護疲れのアンケート(介護負担感・自己効力感の調査)を前後・2週間後・4週間後・8週間後まで回答を得た。また、プログラム冊子の見直しを行い、配布資料を作成した。さらに、2022年12月には第42回日本看護科学学会学術集会にて、「暮らしのリズムを整える」と「最期の意思を支える」の参加後のアンケート結果の比較からプログラム効果を発表した。
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