研究課題
現在、わが国では高齢者人口の飛躍的増加にともない、加齢に由来するさまざまな問題(病気や怪我の増加等にともなう医療費の高騰、認知症の増加、介護負担、高齢者の生きがい問題)の解決が社会のいろいろな場面で求えられている。高齢者とりわけ地域虚弱高齢者の認知機能の維持、改善、認知症予防に関する介入ポテンシャルはかなり高いにもかかわらず、わが国では十分な取り組みや有効性が認知されているとは言い難い(木村2015)。そこで申請者らは、日常生活の時間で、習慣的に日課として行う行為である身体的活動や情緒的活動に注目した。虚弱高齢者でも安全に行える超低速歩行(バランスゲイト 平成25-26年度挑戦的萌芽研究 村田)を検証した。虚弱高齢者を対象に歩行分析装置で測定し、バランス能力や日常生活動作能力、認知機能との関連を検討した結果、高い相関を示した(岩瀬、村田2014)。さらに申請者らは、ポジティブ情動が、社会的行動や認知的処理に影響を与えることに注目した(木村2015)。これは、手指で触れることで皮膚の触覚が刺激され視床下部から血液中にオキシトシンが分泌されるものである。 そこで今回、課題型超低速歩行とポジティブ情動ケアの効果をクロスオーバー比較テストで客観的に評価し、またプログラム参加率(effectiveness)を考慮し検証する。