研究課題/領域番号 |
16K12298
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
鶴田 来美 宮崎大学, 医学部, 教授 (30258983)
|
研究分担者 |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
蒲原 真澄 宮崎大学, 医学部, 助教 (00468026)
田村 宏樹 宮崎大学, 工学部, 教授 (90334713)
塩満 智子 宮崎大学, 医学部, 助教 (90468025)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ロコモティブシンドローム / 運動器検診 / 歩行動作 / ロコモ予防 / 運動機能向上プログラム / 労働者 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、労働者を対象に運動器検診を行い、①ロコモ該当者の推定と、②ロコモ度テストで得たデータと歩行動作の測定で得たデータとの相関関係を分析することを目的とした。 ① 壮年期・中年期の労働者は「ロコモ」を自分のこととしてとらえにくい。しかし、移動機能の低下が始まっている者が2割程度いることが確認された。また、20~30歳代は体力に不安を抱き、40~50歳にかけて体力の低下がみられた。そのため、加齢に伴う身体の変化と健康状態に気づくきっかけを与える運動器検診の必要性が確認できた。 ② ロコモの診断法の1つであるアンケート方式のロコモ25とカメラでとらえた約3mの歩行時の最初の1,2歩の情報からの、歩幅、歩行速度、膝角度の大きさとの関係を調査した。調査は運動器検診を実施して行った。対象データは合計194名であったが、アンケートの信頼性から139名に選定してデータ解析を行った。解析の方法は歩幅、歩行速度、膝角度のデータを説明変数、ロコモ25アンケート結果を目的変数として、重回帰分析を行う方法と、ロコモ25アンケート結果を教師信号(目標値)として、データを機械学習したファジィ推論モデルを用いる方法の2種類を行った。重回帰分析では、相関係数が0.4~0.45であり、ファジィ推論モデルでは0.65~0.74であった。この結果から、すべての対象者に対して線形な関係はないが、ある程度グループ分けられた範囲内では、線形な関係があることがわかり、歩行情報から強い相関でロコモ25と同じ情報を推定することができることがわかった。ただし、ロコモの3つの診断法を用いて評価されるロコモ度テスト結果と歩行動作に関しては、ロコモ度0とロコモ度2の2クラスであれば、判定はある程度可能であるが、ロコモ度0,1,2の3クラスに関しては現段階のデータ解析では難しく、この改善が今後の課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画は、運動器検診の実施と取得データの解析である。運動器検診は予定通り進行しており、取得したデータの解析も一部行えているため、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
取得したデータについては一部解析を開始している。データ取得状況から対象者の性別・年齢、運動器の健康状態に偏りがあると判断したため、運動器検診は継続しデータ数を増やす。また、ロコモの3つの診断法を用いて評価されるロコモ度テスト結果と歩行動作に関しては、ロコモ度0とロコモ度2の2クラスであれば、判定はある程度可能であるが、ロコモ度0,1,2の3クラスに関しては現段階のデータ解析では難しいため、この改善を平成29年度の課題として取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究専用のパソコンを購入予定であったが、使用可能なパソコンがあったため、今年度は購入しなかった。また、データ入力等の作業については、研究者らが分担して行うことができたため、研究補助者への謝金額が予定より少額となった。さらに、研究分担者1名が産休・育休であったため、配分額が不要となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度購入しなかったパソコンを購入する。運動器検診を継続して行うため、研究補助者への作業時間数を増やし、データの入力や資料整理等を依頼する。
|