研究課題/領域番号 |
16K12298
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
鶴田 来美 宮崎大学, 医学部, 教授 (30258983)
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研究分担者 |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
蒲原 真澄 宮崎大学, 医学部, 助教 (00468026)
田村 宏樹 宮崎大学, 工学部, 教授 (90334713)
塩満 智子 東都医療大学, 研究センター, 研究講師 (90468025)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム / 運動器検診 / 歩行動作 / 運動機能向上プログラム / 労働者 |
研究実績の概要 |
平成29年度は①運動器検診の結果分析と②「運動器の健康度」評価の指標作成を行った。 ①デスクワークを中心とする263名の労働者を対象としたロコモ度テストにおいて、2.8%がロコモの該当者であり、20歳代では17.5%が該当していた。また、ロコモ該当者の30%は体力の不安を抱いており、非該当者(14.3%)よりも有意に多かった(p<.05)。腰と股関節に痛みがある者の方がそうでない者に比べ有意にロコモ該当者が多かった(p<.05)。健康関連QOLでは、ロコモ該当者の身体的サマリースコア(49.1±6.2)は非該当者(52.0±4.9)よりも有意に低かった(p<.01)。ロコモ予防は若い年代からの早期介入が重要であり、運動器の痛みや体力に関する不安など生活上の兆候が重要な指標となることが考えられた。 ②カメラでとらえた約3mの歩行時の最初の1,2歩の情報からの歩幅、歩行速度、膝角度を抽出し、それらの情報を用いて、ロコモ25の値を推定することが可能か、検証実験を行った。対象被験者300名以上から異常な値である外れ値を除いた250データを用いて推定モデルの構築を行った。推定モデルには、重回帰分析とファジィ推論を用い、機械学習で250データを学習した。その結果、ロコモ25の値と決定係数0.5と強い相関のあるロコモスコアを算出することに成功した。 同じシステムを用いて、歩行の状態から、ニューラルネットワークの一種である自己組織化マップを用いて、344データを学習し、歩行状態から年齢(「ロコモ年齢」宮崎大学商標登録)を推定するモデル及び方法論を開発した。推定精度の指標として、該当年齢の平均値より歩幅、歩行速度、膝角度の値が悪い人はロコモ年齢が高く、該当年齢の平均値より歩幅、歩行速度、膝角度の値が良い人はロコモ年齢が低くなっていることを指標とし、ロコモ年齢の精度を確認したところ、約65%から70%の割合で正しく分類できていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成29年度は①取得したデータの解析と②運動器の健康度を評価する指標の作成の2点である。目標とする500名のデータを取得することができたこと、一部データを解析し、学術雑誌に原著論文として投稿し採択されたこと、評価指標の妥当性について検証し国際学会で発表を行ったこと、等から計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
労働者を対象とした運動機能向上プログラムを作成し、その普及啓発に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)歩行動作計測解析システムの経費を節約することができた。また、研究分担者1名が育休のため配分額が不要となったこと、海外での学会発表に1名参加できなくなり旅費が不要となったこと等により使用額に差が生じた。 (使用計画) 運動器検診の重要性及び運動機能向上プログラムの普及啓発のために公開講座を開催する。
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