研究課題/領域番号 |
16K12298
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
鶴田 来美 宮崎大学, 医学部, 教授 (30258983)
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研究分担者 |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
蒲原 真澄 宮崎大学, 医学部, 講師 (00468026)
田村 宏樹 宮崎大学, 工学部, 教授 (90334713)
塩満 智子 東都医療大学, 幕張ヒューマンケア学部, 講師 (90468025)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム / 労働者 / Kinectセンサ |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究目的は、ロコモ予防のための体力・運動機能向上プログラムを構築し、ロコモ予防の重要性を労働者に周知することである。 労働者のロコモの実態として、労働者のロコモ該当者は男性は21.8%、女性は25.5%で、その割合は男性よりも女性が有意に高く、男女とも加齢とともに増加していた。逆に、体力については、年齢の高い50代、60代の男性がほとんど体力に不安を抱いていないのに対し、20代~40代男性は1~2割が不安を抱いていた。また、20代~40代女性の約4割は体力に不安を抱いており、その割合は50代、60代よりも高かった。更に体力に不安を抱いている者にロコモ該当者が多いことから、労働者のロコモ予防においては年齢で異なるアプローチが必要であることがわかった。 本研究では、“運動器の健康度”を歩行動作で簡便に測定し、客観的な評価値を示すことができるシステムを開発した。本システムの特徴としては、日常の歩行動作を計測し、ユーザの年代の平均的な歩幅、歩行速度、膝角度と比較することができ、また、ロコモの数値を確認することができることである。この結果は、現在はレシートとしてユーザに渡し、自分の歩行動作およびロコモを知ることに使ってもらう。自分の歩行動作に必要な運動器が平均と比べて、劣っているのか、勝っているのかをユーザが把握し、劣っているのであれば、運動によって数値を改善するようにユーザに運動指導をするためのきっかけになる。特に若い世代を対象としたロコモ予防は、きっかけづくりが重要であり、簡便な計測による体力への関心を高めるアプローチから始め、性別・年齢を考慮した意図的介入につなげていくことがロコモ予防及び健康寿命の延伸に寄与すると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年間の研究計画が計画通り進行し、データ取得も目標の500を達成することができた。さらに、生活圏の異なる地域において調査を実施することができ、ロコモ予防の普及啓発活動を行うことができた。ロコモ予防のための・体力・運動機能向上プログラムの作成にも着手することができたため、計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
一つ目の課題は、海外に向けて論文による成果の公表を行うことである。 二つ目の課題は、体力に不安を抱く20代~40代女性をターゲットとしたロコモ予防の取組みに着手することである。20~40代女性の体力不安は、厚生労働省、スポーツ庁が示す運動不足、体力・運動能力の低下と一致していること、さらに妊娠・出産・子育てといったライフサイクルのなかでも心身の不調をきたしやすい状況が大いにあることからも、女性の健康寿命延伸の実現に向けた対策の鍵は、この年齢層にあると推察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に投稿した論文がAcceptされなかったため、投稿先を変更して投稿を行った。現在、査読結果を受けて修正中であり、Acceptされた場合の論文掲載料として次年度の使用額が生じた。
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