研究実績の概要 |
ラオス国サワナケート県セポン郡の2ヶ所の保健センターの管轄域にある僻地村落(10カ村)にて、昨年度に作成した自己評価式の地域診断チェックリストを用いた調査を実施した。調査においては、保健センターの職員(看護師4名)と村落の保健ボランティア(各村1名以上)が地域診断チェックリストを用いて地域診断を行った。調査の結果、次のような地域診断チェックリストの有用性が確認された。1) 地域診断チェックリストは、村落でよくみられる健康問題(下痢症、マラリア、咳など)の危険因子を特定することに役立つこと、2) 地域診断チェックリストは、地理的・文化的に類似した村落間においてでも、危険因子が異なることを特定できるほど鋭敏であること、3) 地域診断チェックリストを用いた調査は、保健センター職員に対して特別な訓練を提供せずに、かつ現行の日常業務の中で実施が可能であること。よって、特別な予算を追加せずとも、本研究で作成した地域診断チェックリストをラオス国の他の地域へ拡大することが可能である。地域診断チェックリストによって特定された危険因子に対して、保健センターの職員は、村落に対して常備薬を配布する、健康教育を実施するなどの対応を自主的に行った。 以上の研究成果は、ラオス国の保健フォーラムにて(The 12th National Health Research Forum, Vientiane, 16-17, Oct. 2018)にて、ラオス国の保健医療実務者、研究者、政策策定者等に対して公表した。加えて、研究成果を論文にまとめ、国際学術誌(Global Health Action)に投稿した。現在、投稿した論文は査読中である。
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