研究課題/領域番号 |
16K12301
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
松尾 泉 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (60550829)
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研究分担者 |
細川 満子 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20315542)
西沢 義子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (60113825)
川口 徹 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (80241678)
笹森 佳子 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (90723015)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヘルスリテラシー / 独居高齢者 / 学生ボランティア / 健康教育 / 主観的健康感 / コミュニティーケア / 閉じこもり予防 / 多世代交流 |
研究実績の概要 |
本研究の具体的内容:大学生ボランティアによる健康講話や軽体操から構成される健康講座を中心に、積雪量の多い東北地域で生活する独居高齢者の閉じこもり予防やヘルスリテラシーの向上に向けた健康教育プログラムを開発する。 結果:研究期間内にA市内3つの会場で健康教育を開催し回答66名中59名(89.4%)のうち有効回答55名(93.2%)、男性9名・女性46名を分析した。①対象者の年代は80代(52.7%)が最も多く、食事会の参加年数は1~20年(10年以上20.0%)であった。②対象者は、民生委員の誘い43名(76.8%)や学生への期待19名(34.5%)を契機に、健康情報や方策を得るため参加しており、健康教育の開催はHL向上の社会的要因となることが推察された。③現在の状態が健康であると回答した者は40名(83.6%)であり、健康統制感のうち健康は「自己」や「医療」と回答した者は半数以上であった。参加者は、現在健康を自覚しているうえに、自分が健康に気を付け、医療の力を借りることで健康をコントロールできるという認識を持つ者が多いと推測された。
研究の意義:地域で生活する独居高齢者の閉じこもり予防・ヘルスリテラシーの向上が図れると共に、健康講座を開催する大学生ボランティアと地域で活動している地区の民生委員との相互作用も期待できる。これらにより、対象とする独居高齢者だけでなく、地域の高齢者や地域全体の健康づくりに貢献できる。
重要性等:地域のヘルスリテラシー向上や包括ケアの担い手作りの育成につながる。縦断的な独居高齢者の健康感や客観的・主観的健康度の変化について基礎資料を得ることが出来る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健康教育プログラムの開発について:A市内3か所において食事・運動などの健康講話と軽体操からなる健康講座を実施し質問紙調査を行った。今後通年で健康講座を開催し縦断調査の結果を集計・分析する予定である。改良した健康教育を実施し、本プログラムの評価として、独居高齢者の健康感、健康教育を継続受講した印象、イメージの変化、今後の期待などインタビューガイドを用いてインタビュー調査を実施した。健康教育の継続と並行して、健康データの分析結果からモデル開発を行い、複数の学会に発表した。 3者の相互作用について:受講者である独居高齢者・地区活動運営者である民生委員・健康教育実施者である学生の3群を対象に半構成グループインタビューを行い、健康教育に参加した意義やお互いへの信頼感、地域の健康づくりに自分ができることなどについて調査した。 健康教育実施グループ(サポーター)の育成について:健康教育の継続と並行して、健康教育実施者の育成講座を計画し、経験者をリーダーとする学生の主体的な活動を支援した。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究結果から、対象者は、健康を自覚しているものの心理的な不安や孤独を感じていることが推察された。一方、健康教育への参加には肯定的であると推察され、対象者のHL向上や社会参加の機会となることが期待される。今後も対象者の意向を取り入れた学生ボランティアによる健康教育プログラムを推進し、主観的健康尺度と客観的なデータを合わせて効果を明らかにしていきたい。 健康教育に好評を得た一方で、毎回の参加者は一定であり、参加人数は、地域在住の独居高齢者の1割程度にとどまっている。特に男性の参加が少ない現状である。安否確認を担当する地区の民生委員と協力した、戸別訪問や玄関先での出前健康教育など、ヘルスリテラシー向上に向けた取り組みも今後の受講勧奨として計画する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施した調査結果に関して、集計分析に時間を要しているため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き次年度もデータ収集と集計・分析を続けるため、人件費・その他の経費が必要である。
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