研究課題/領域番号 |
16K12304
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
門間 晶子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (20224561)
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研究分担者 |
浅野 みどり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30257604)
細川 陸也 名古屋市立大学, 看護学部, 助教 (70735464)
野村 直樹 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (80264745)
山本 真実 岐阜県立看護大学, 看護学部, 准教授(移行) (90710335)
佐藤 博文 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (60813178)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オープンダイアローグ / 子ども虐待予防 / 家族支援 / 子育て支援 / ナラティヴ / 地域看護学 |
研究実績の概要 |
3年目である平成30年度には、研究計画の第一段階にあたる【準備・トレーニング期】を経ながら、一部【実践期】にあたる取り組みをした。具体的には以下の通りである。 1.研究データ収集:平成30年9月には保健師を対象として子育て支援の現状に関する面接調査を実施し、平成31年3月にはオープンダイアローグ(以下、OD)の研修を経験した児童福祉司に対する支援の現状やODに対する印象についての面接調査を実施した。 2.児童相談所(以下、児相)での勉強会:児相職員がファシリテーターを務めるという実践的な内容で継続した。平成30年8月と10月には基礎編と実践編のセットで勉強会を実施したが、参加者の連続性を確保することは難しかった。平成31年3月には実際のケースでのOD実施を視野に入れた事例提供者(児童福祉司)との打ち合わせや勉強会開催、意見交換を行った。 3.研究会の開催、啓発活動、自己研鑽等:研究会の開催・啓発活動としては、研究分担者・野村直樹主催の「オープンダイアローグ研究会」を平成30年度は3回開催し、問題意識を共有する実践者・研究者らとの懇親を深めた。31年3月には研究代表者門間が演者を務め、フィンランドでの学びおよび児相での研究経過を話題提供した。また、平成30年9月には研究代表者や分担者が所属する日本看護医療学会の「子どもと家族のケア部会」において子どものケアに関わる職種と共にODの基礎のと実践を演習形式で学んだ。自己研鑽としては、国内のODに関する様々な研修会に参加するとともに、平成30年10~11月にはフィンランドへの視察研修に参加した。OD発祥のケロプダス病院をはじめとする視察研修によって、ODやアンティシぺ―ションダイアローグ(AD)の理解を深めた。 4.学術集会発表:児相との協働的取り組みについて「日本子ども虐待防止学会」学術集会にて、児相職員と共同発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者自身の研修、情報交換、学会発表、論文執筆などを進めながら、【第1段階・準備期】にとって重要な研究協力機関の開拓、関係づくりに取り組み、【第2段階・実践期】への足掛かりを得つつあるが、実際の家族に対するオープンダイアローグの実践やそのデータ収集には到達できなかった。多忙な児相職員が刻々と変化する家族の状況に応じて研究者に声をかけることは難しく、平成30年度は児相が開催する家族応援会議に参加の機会が得られなかった。ODの実践が可能な家族を探すことに関しては、児相職員に委ねるほかないという状況である。児相のほか、区役所に兼務している児相職員の協力も得ながら、研究者がかかわりを持ってよいという家族を探している状況である。また、平成30年度には里親会とのつながりができ、ODに関心をもってくれる家族との出会いがあった。OD自体は家族構成員やその子育てに関わるネットワークメンバーが参加するため、候補となる人がいても、なかなかOD実施には移行しにくい。児相職員自体も緊急介入なども多く多忙であり、異動も多く、固定メンバーと実践に向けた取り組みがしづらい状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は【第2段階・実践期】にすすみ、実際の家族との間でODを実践し、参加した人々からフィードバックをもらう機会を得ることが希望である。そのためには、児相との勉強会を続け、引き続き児相に働きかけるとともに、協働できる機関や専門職者を探す。 子育て支援・子ども虐待予防に関わる専門職者への話題提供、協働者探しとして、具体的には以下のことを予定している 1)児相との勉強会を継続する。2)現在関係性が出来つつある里親会のメンバーに働きかける 3)看護職者対象の研修会において、家族支援のあり方の一つとしてのODを紹介し、研究仲間を募る。4)パートナーシップ型家族応援会議のあり方を研究しているグループの中で研究の趣旨と構想を伝え、研究への助言を得る。5)看護系学会がもつ、子どもと家族のケアについて考える部会が開催する講演会のテーマとしてODを取り上げ、看護職者への講演を通じて、協働できる機関や専門職者を探す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度にはフィンランド視察ツアーなどのために翌年度分を前倒しで請求したが、そのうち一部を未使用で残すこととなった。その理由は、当該年度終了間際にオープンダイアローグ実践の可能性があり、そのための謝金やスーパーヴァイズ料を予定していたが、実施できなかったためである。翌年度にはオープンダイアローグの勉強会や実施のための謝金やスーパーヴァイス、学会出張、論文投稿等のために残額を使用する。
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