研究課題
本研究の目的は、看護職と専門職や保護者が共有して使える医療的ケアが必要な児も含めた重症心身障害児の体調アセスメントシートの開発である。第一段階で、特別支援学校に5年以上勤務する中堅の学校看護師10名からの調査にて、学習場面でのケア活動で、医療的ケアが必要な重症心身障害児に対して実感している体調判断を把握した。言語的な表現が難しい児に対して看護師は、昨日とは何か違うことを察知した後に、バイタルサインやSPO2など生活の中で測定可能な値を調べ、次に児の機嫌や呼吸音などの感覚の判断に至るプロセスを明らかにした。それらの情報は、てんかんの前駆症状の観察や緊張を緩和するケアへの根拠となっていた(The 20th Eeat Asian Forum of Nursing Scholarsで発表)上記内容を踏まえ、今年度は訪問看護師、学校看護師、特別支援学校の教員、放課後デイサービス看護師などの多様な場で重症心身障害児のケアに当たる専門職が経験で得た、児の体調変化の気づきにつながる感覚や視点を明らかにした。その結果、支援者の五感を働かせて得る情報としては、一目見てわかる変調の兆し、身体に触れてからわかる変調の兆し、児の目で訴える変調の兆しなどと共に、生活背景の情報も加味する母親の疲労蓄積で影響する児の変調を探る、母親の視点を交えて児の状態を俯瞰するなどのカテゴリーを構成する約30のチェック項目を抽出した。しかし、体調をギリギリで維持している重症児であるがゆえにこの先の体調を鑑みまだ安心できない状態にあるとの推論にも至る項目も抽出した。第42回日本看護科学学会で発表)これらの調査を基に、重症心身障害児は成長発達途中であるがゆえの変化も考慮し、チェック項目からアセスメントシートの試案を作成した。
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