研究課題/領域番号 |
16K12312
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
藤内 美保 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60305844)
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研究分担者 |
福田 広美 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (00347709)
山田 貴子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (30645536)
田中 佳子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (70550804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高度実践看護師 / 教育プログラム / 臨床推論 / 看護基礎教育 / エビデンス |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、高度実践看護師の臨床推論に基づくフィジカルアセスメントの継続教育支援プログラムの開発である。昨年度は、臨床推論からどのような観察を行い、フィジカルアセスメントを行ったのか全体の流れを明らかにする調査を行った。看護師の傾向は見えてきたものの、臨床推論をさらに分析することの必要性がでてきた。 看護基礎教育では、緊急性や重症性の判断を学ばないまま判断力を養う教育が依然されている現状がある。そこで29年度は、臨床推論に注目して調査を行った。少ない情報から推論し、さらに必要な情報を考え、それらの情報から総合的に判断し臨床推論を絞り込み、最終的に臨床判断する思考プロセスがある。その一連のプロセスにおいて看護学生と実践看護師でどのような違いがあるかを明らかにした。提示した事例は、年齢や環境などの生活状況から生じた身体的問題、且つ見落としてはならない重要な問題を意図した事例とした。初回に提示した事例情報のなかで意識レベル低下といった見逃してはならない情報について、看護師は100%着眼していたが、4年次生、2年次生は7割、5割であった。追加した事例情報から、さらに絞り込んだ臨床推論をするが、その根拠の項目数は看護師が最も多く、数値や検査データなど科学的な客観的所見に注目する看護師の傾向と比較すると、看護学生は学習した知識を思考プロセスの中に反映していない実態があった。重要な情報とさほど重要でない情報、生活の視点を強調する教育とのバランス、重症性や緊急性を実践現場で体得しない看護学実習のあり方について検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究では、臨床推論に基づくフィジカルアセスメントに関する研究、平成29年度は臨床推論のプロセスを追求する調査研究を行った。看護基礎教育の学生と実務経験のある看護師における臨床推論やフィジカルアセスメントの実態を明らかにできたことは意義がある。平成29年度の調査研究においては、既に分析が終了し、論文作成をしておりほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に実施した研究を論文としてまとめ、学会等で公表し論文投稿を予定している。また平成30年度は新たな研究計画を予定しており、推論に基づくフィジカルアセスメントの流れに注目した研究を予定している。どのような推論や思考から、具体的な情報収集を行うのかを分析していく。情報収集には、問診、視診、触診、打診、聴診などの五感を活用するフィジカルアセスメントの情報収集能力を観察する。視診については客観的に研究者が観察できないため眼球運動測定装置を活用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の調査において当初想定していた対象者数よりも少ない人数となったことから余剰金が発生した。 次年度は、3つ目の調査を実施する予定であり、調査費用に充てる。また29年度に実施した調査結果を公表する費用に使用する予定である。
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