研究課題/領域番号 |
16K12314
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
青柳 美樹 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 准教授 (60334976)
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研究分担者 |
高山 裕子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (00637803)
多賀 昌江 北海道文教大学, 人間科学部, 准教授 (20433138)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海外派遣労働者帯同配偶者 / ストレス反応 / コミュニティ参加 / 帯同経験の意味づけ |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究は、配偶者における生活への適応とそれに関連する要因の特徴及びを明らかにすることを目的とし、二つの課題について検討した 課題1 配偶者の生活への適応状況及び関連要因の特徴の明確化と予測モデルの構築 1回目のWeb調査を実施した。調査期間は2016年12月~2017年1月である。回答者は、同行前150名、186名であった。同行前後でストレス反応の差は見られなかった。年齢、滞在年数、子どもとの同居の有無、海外生活の経験の有無、学歴によるすとれる反応の差はなかった。「日本人以外の友人との付き合い」「夫の会社婦人会での付き合い」がある配偶者は、付き合いのない配偶者よりも高いストレス反応を示していた。「夫の会社の現地スタッフとその家族との付き合い」「日本に住む友人との連絡」のある配偶者は、ない配偶者よりもストレス反応を示す割合が低かった。よって、配偶者に対しては、赴任前後において異文化コミュニケーションや自己理解に関するセミナーが有効であるとともに、夫の現地ネットワークは、配偶者のストレス緩和の役割を担っていると推測された。 サンプルサイズが大変小さいので、今後調査を重ね、ストレス反応の特徴について明らかにしたい。 課題2 配偶者の生活への適応プロセス及び帯同経験の意味の明確化 について、10人のインタビュー調査を行った。「I国の文化を日本の子どもたちに伝えていく役割」の意味づけ、「夫の海外赴任に同行したことは、自分の身に降りかかったチャンスと受けとめ、<人生の転機のひとつ」との意味づけ、「本来の未来型思考の性格を取り戻し、<お金よりも愛が大切」という新たな価値観の獲得など、「入りたくないコミュニティには入っていかなくてもよいと選択できる自由な自己」の獲得などが示された。失ったもの、得たものがある中で、変わらない自己が配偶者自身のよりどころとなっていることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の計画であるインタビュー調査の実施、アンケート調査の実施は行えた。しかし当初の計画よりも、アンケート調査の回収率が低く、平成29年度追加実施の予定である。 理由として、Web調査へのアクセス数はあるものの、回答に至らなかったケースが多く、質問数の多さ、回答しにくさが原因であると考える。また、日本人学校の協力を得ることが難しいこともその要因と考えられる。対面で依頼、配布しない調査は研究者の意図や顔が見えないため、回答に不安が生じると考える。よって、平成29年度は、現地のネットワークづくりを中心に展開し、様子を見ながらセミナーを実施することとした。 ただ、共同研究者、研究協力者、連携研究者とのやりとりはできており、今後の方向性についても現在検討中である。5月に打ち合わせ、6月に会議を開催予定である。
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今後の研究の推進方策 |
課題1の回答者数が少ないため、対面でのネットワークづくりが必要であると考えている。キーパーソンとなる現地の方の協力を得るために、数か国限定して訪問し、ネットワークづくりを進める。 平成29年度は、課題1:同行前後の継続的なストレス反応を調査し、関連要因を明らかにする。②予測モデル構築に向けて、アンケート調査回答者を継続する。課題2:平成28年度に明らかになった配偶者の帯同の意味づけについて、学術誌に公表予定である。課題3:アンケート調査から、子どもを有する配偶者、子どものいない配偶者に分け、支援ニーズを明らかにする。回答者数の増加のため、ネットワークをつくり、現地の協力者の協力のもと、調査を実施する。課題4:カフェの開催に向けて、2~3か国に限定し、ネットワークをつくる。その後、カフェを継続的に2~3回開催し、効果を検証する。効果測定として、前後のコミュニティ活動量の変化、価値変容、自己肯定感の測定を行う。また、FaceBookの開設を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度、共同研究者は学内業務の都合で、当該研究に関連のある学術集会に参加することができなかった。また、来年度の調査のためのネットワークづくり、カフェ開催について、予定よりも渡航数が増加する可能性のため、学術集会に参加できなかった分を、渡航の際の交通費として利用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度にスリランカ、インドネシア、タイ等の訪問が数回予定されているため、交通費として使用予定である。
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