研究課題/領域番号 |
16K12318
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉野 純子 東海大学, 医学部, 准教授 (50290036)
|
研究分担者 |
錦戸 典子 東海大学, 医学部, 教授 (10172644)
嶋津 多恵子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 教授 (80184521)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 定年退職 / 男性 / 地域とのつながり / 首都圏 |
研究実績の概要 |
【研究目的】本研究は、地域とのつながりの希薄さから社会的に孤立しやすい首都圏に在住する定年退職後の高齢男性を対象とした、「地域とのつながり」の測定尺度の作成および調査を通して、首都圏在住の定年退職男性と地域とのつながりの特性に配慮した、地域保健プログラムへの示唆を得ることを目的としている。 【H30年度研究成果】H30年度は、「首都圏における中小企業を定年退職した男性が地域とのつながりを構築していくプロセス」<承認番号:第16-29号>におけるデータの分析を行い、その結果を国際学会<Aging & Society:Eighth Interdisciplinary Conference 2018>にて発表した。現在、質的研究より導かれた結果(カテゴリー)と、大企業からの定年退職男性を対象とした地域とのつながり研究結果とを統合し、定年退職男性と地域とのつながりに関する調査票の作成を進めている。 【結果概要】中小企業を定年退職した男性が地域とのつながりを構築していく過程については9カテゴリー、関連要因として5カテゴリーが抽出された。男性は、「仕事以外の話題性に乏しく」、〈仕事の肩書きが通用しない〉「地域に自身を適応させること」に戸惑いつつも、「自ら踏み出す勇気」をふるい起こしたり、「家族や友人、地域組織からの橋渡し的支援を得」ながら、「試行錯誤しながら新しい対話の手段を模索して」いた。対話の手段を模索するうえで、〈現役時代から趣味を持っていた〉り〈仕事以外の多様な経験をする〉など、「現役時代の働き方が第二の人生に向き合う姿勢をつくって」いた。そして、地域生活の中で〈新しい体験や発見〉を積み重ねて「心の豊かさを育んで」いき、「住民同士の支え合い」や「やる気をつなぐ人や場、仕組み」の大切さを感じていた。そのためにも、〈安定した健康状態が前提として大事である〉ことが見出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①研究代表者による先行研究「首都圏在住の定年退職した男性が地域とのつながりを構築していく理論の生成」の学術誌への投稿において現在も継続中であり、論文公表に至っていない。 ②H30年度に実施予定であった、(a)質的研究で得られた概念をもとに、定年退職した男性が地域とのつながりを築いていくための構成概念および関連要因の検討・洗練化(大企業を定年退職したケースとの比較・統合)、(b)得られた概念をもとに、定年退職した男性と地域とのつながりを測定する尺度を作成、(c)作成した測定尺度を用いてのプレテスト調査 が(a)部分までに留まっており、(b)(c)を実施できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
<今後の推進方策> 【H31年度】4月~9月:〔目標1〕H30年度の研究成果として得られた概念をもとに、定年退職した男性が地域とのつながりを築いていくための構成概念および関連要因の検討・洗練化(大企業を定年退職したケースとの比較・統合)を行い、定年退職した男性と地域とのつながりを測定する尺度を作成する。10月~12月:〔目標2〕作成した測定尺度を用いてのプレテスト調査を小規模に実施する。1月~3月:〔目標3〕プレテスト調査の結果から、尺度の精緻化および洗練化を再検討する。首都圏の自治体の中に調査協力の依頼を行い、調査自治体のリクルートを行う。
2020年1月に、本研究の延長申請を行い、認められれば、2020年4月~10月:〔目標4〕修正した測定尺度を用いて、協力の得られた自治体にて定年退職男性を対象とした地域とのつながり構築に関する調査を行い、量的データをもとに、構成概念の妥当性および構成概念と関連要因との関連性について分析し、首都圏在住の定年退職した男性と地域とのつながりの特徴について検討する。また、〔目標4〕の結果を用いて、協力自治体あるいは団体と協働で、退職後の男性と地域とのつながりを深めるための保健プログラムの検討を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
【繰越金が発生した理由】①昨年度計画修正した時に計画していたアンケート調査票の作成および印刷まで到達できなかった。②先行研究の学術雑誌投稿が継続中であり、論文印刷費使用がなかったこと により、当初の予定よりも支出が少なくなった。 【次年度の使用計画】①質的研究結果を踏まえて、アンケート調査用紙の作成とプレテストを実施する。→印刷費用(業者委託費)、アルバイト(人件費)等の使用が必要となる。②アンケート調査協力を得られた活動団体および協力者への謝金が必要となる。
|