研究課題/領域番号 |
16K12319
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
久保 善子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00412669)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メンタルへルス / 産業看護 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
本研究は、産業看護職がメンタルへルス対策を行う上で必要なコンピテンシーを抽出し、抽出したコンピテンシーを尺度化した上で、コンピテンシーの特徴および影響要因の検討を行い、現任教育への示唆を得ることが目的である。本研究は、以下の研究目的1~3を達成するために、4年計画で実施する。 目的1:産業看護職がメンタルへルス対策を行う上で必要とするコンピテンシーは何か?(質的研究、因子探索研究)インタビューを行い、質的帰納的に分析を行い、産業看護職がメンタルへルス対策を行う上で必要となるコンピテンシーを抽出する。目的2:コンピテンシーを明らかにする簡便かつ効果的な尺度とは?(量的研究、関係探索研究)目的1で抽出されたコンピテンシーを尺度の項目とし、質問紙調査を行った上で、妥当性・信頼性の検討を行う。目的3:経験年数によるコンピテンシーの特徴および影響要因とは?(量的研究、関連検証研究)目的2で開発した尺度を基に、コンピテンシーの特徴と産業看護職の経験年数、所属組織の規模・業種、組織の教育体制、メンタルへルスに関する教育歴、担当職場のメンタルへルスの状況等の側面について検討を行い、現任教育への示唆を得る。 初年度である平成28年度は、目的1に関する研究を行った。実施に際しては所属大学の倫理委員会の承認と対象者への同意を得た上で実施した。現在、20名の産業看護職に半構成化面接を行い、インタビューデータを分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成28年度は、目的1に関する研究を行うことを計画していたため、おおむね順調に進展している。 現在、インタビューデータを分析中であるが、本研究はデータが飽和した時点で終了することとしているため、さらなるデータ収集が必要である可能性もある。今後も、データの分析内容を連携研究者や質的研究者(スーパーバイザー)と確認をしながら、研究を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、研究目的1を達成するために、引き続き、インタビューデータの収集・分析を行う。さらに、目的2として、目的1で抽出されたコンピテンシーについて、内容妥当性の検討およびスケールの妥当性の検討を産業看護の研究者(10名)、産業看護の実践者(10名)に行う。 平成30年度は、内容妥当性が得られた項目を尺度項目とし、日本産業衛生学会の会員である産業看護職(約1300名)に、無記名自記式質問紙を郵送法にて配布・回答を行う。得られたデータより、コンピテンシー尺度の信頼性・妥当性を検討し、尺度開発を行う。また、目的3として、目的2で開発した尺度を基に、コンピテンシーの特徴と産業看護職の経験年数、所属組織の規模・業種、組織の教育体制、メンタルへルスに関する教育歴、担当職場のメンタルへルスの状況等の側面について検討を行い、現任教育への示唆を得る。 平成31年度は、これまでに行った調査結果をまとめ、実践に携わる多くの産業看護職に周知できるように、産業看護・産業保健関連の学術雑誌(日本産業看護学会誌、日本産業衛生学会誌、Journal of Occupational Health等)へ投稿する。また、リーフレットの作成を行い、学会や研修会にて配布をする等の対応を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算として、旅費や人件費・謝金を申請していたが、学内の研究費を用いて、実施したため、科研費での申請を行わなかった。そのため、申請額と使用額に齟齬が生じた。また、当初は連携研究者との研究会議に、旅費を申請していたが、メールや電話での調整が可能であったため、平成28年度は研究会議を行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、旅費や人件費・謝金を使用しなかったが、平成29年度も、インタビュー調査を引き続き行うため、旅費の使用や録音反訳等での人件費・謝金の使用が考えられる。また、現在、データを分析中であるが、今後は連携研究者との研究会議も必要であるため、代表研究者および連携研究者の旅費の申請を行う予定である。
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