本研究は、産業看護職がメンタルへルス対策を行う上で必要なコンピテンシーを抽出し、抽出したコンピテンシーを尺度化した上で、コンピテンシーの特徴および影響要因の検討を行い、現任教育への示唆を得ることが目的である。 目的1:産業看護職がメンタルへルス対策を行う上で必要とするコンピテンシーは何か?(質的研究、因子探索研究)インタビューを行い、質的帰納的に分析を行い、産業看護職がメンタルへルス対策を行う上で必要となるコンピテンシーを抽出する。 目的2:コンピテンシーを明らかにする簡便かつ効果的な尺度とは?(量的研究、関係探索研究)目的1で抽出されたコンピテンシーを尺度の項目とし、質問紙調査を行った上で、妥当性・信頼性の検討を行う。 目的3:経験年数によるコンピテンシーの特徴および影響要因とは?(量的研究、関連検証研究)目的2で開発した尺度を基に、コンピテンシーの特徴と産業看護職の経験年数、所属組織の規模・業種、組織の教育体制、メンタルへルスに関する教育歴、担当職へルスの状況等の側面について検討を行い、現任教育への示唆を得る。 平成28年度-平成30年度は目的1について主に研究を行った。令和元・2年度は主に目的2・3について研究を行った。産業看護職のコンピテンシーとして、ストレスチェック制度導入時における産業保健師のコンピテンシーに着目し、これまで明らかにされていなかった政策を施策化・事業化にする保健師のコンピテンシーについて明らかにした。さらに、コンピテンシー尺度を開発し、信頼性・妥当性を確認した。コンピテンシーは、産業保健師としての経験年数、自己啓発力と関連があった。
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