本研究の目的は、妊娠中及び乳幼児期の子どもを持つ親が学ぶ『飲酒防止教育プログラム』の設計・実践を行い、課題を明らかにすることである。『飲酒防止教育プログラム』の設計するために、妊娠中及び乳幼児期の子どもを持つ親を対象に「未成年者飲酒の危険性に関する正しい知識」の理解度について調査を実施した。調査結果、コンテンツ(1)は、アルコール依存症の理解の支援となる教材として、小学校から飲酒を開始した事例を漫画にした教材を作成した。コンテンツ(2)は対象者が、チェックリスト(AUDIT)で、自分の飲酒の現状レベルを知ることができるようにした。コンテンツ(3)は、飲酒乱用に繋がる誤りやすい基礎知識を正しく理解するために、知識(クイズ式)で、基本的な知識を出題した。学習方法は、Webにより、スマホやPCを使用し、対象者が時間的制約もなく、学習ができるようにした。本研究は約3年半にわたって、病院、小学校、保育園、子育て支援センターなどで妊娠中及び乳幼児期の子どもを持つ両親を対象として、『飲酒防止教育プログラム』を実施した。その結果,両親の評価によって、「プログラムの有用性の検討」では、対象者が正しい知識を「得られた」と6割が達していた。「対象者の飲酒に関連する検討」では、母親は、子どもの時に親からお酒を勧めた経験がある3割弱、子どもに勧めたことがある1割以下であった。父親は、子どもの時に親からお酒を勧めた経験がある3割、子どもに勧めたことがある1割であった。対象者の問題飲酒者のスクリーニングテストの結果から、母親の問題飲酒が増加していた。このような調査と効果について研究した例はこれまでになく、『飲酒防止教育プログラム』の有効活用できることを明らかにした。女性がアルコールの害を受けやすいこと、妊娠中の飲酒は胎児にもたらす影響がある。今後の課題は女性に特化した飲酒防止教育の必要性の課題が残った。
|