本研究では、支援を拒否することが多い、貧困や若年など児童虐待の社会的リスク要因をもつ妊婦へ、相手を望ましい方向へ動機付ける「動機づけ面接法」を用いて保健師が妊娠期から家庭訪問をすると、妊婦健診や福祉サービスを受けるといった①被支援行動が増えるか、また、その結果として②生まれた子どもへの母親の虐待行動が減るかを主要評価として検証することを目的とした。さらに、副次的評価として、子どもが生徒4か月時の母親のメンタルヘルスに良い影響があるか、同時に、児童虐待のリスク要因となる低出生時体重等の出生時異常と出生後4か月までの発育・発達不全を減らすか、を検証した。 令和2年度は、前年度COVID-19感染拡大の影響で延期となった動機づけ面接法の教育介入を、令和2年度末3月に保健師10名に対して改めて行った。その後異動者に対して令和3年度8月までに動機づけ面接法の教育介入を行った。また、介入以降もスーパーバイズを継続して面接技術の維持・向上のための補足的な介入を続けている。上記目的としている①②について、保健師の経験年数などの属性や共感能力が影響を与えると考えられたためそれらについて質問紙で回答を得た。さらに、保健師の面接技能評価のための評価用紙を教育介入前及び3か月毎にMITIのコーディングを用いて評価している。データ入力を協力自治体に依頼しデータを得て解析を実施している。
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