研究課題/領域番号 |
16K12328
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小林 淳子 山形大学, 医学部, 教授 (30250806)
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研究分担者 |
森鍵 祐子 山形大学, 医学部, 准教授 (20431596)
赤間 由美 山形大学, 医学部, 助教 (90700021)
進藤 真由美 山形大学, 医学部, 助教 (30638523)
大竹 まり子 山形大学, 医学部, 准教授 (40333984)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再喫煙 / 喫煙 / 禁煙 / 妊産婦 |
研究実績の概要 |
妊娠を契機に禁煙した妊婦の再喫煙を防止し禁煙を継続するプログラム構築のため、Y県A市で平成27年度開催した1歳6か月児健康診査に来所した母親の内、母子健康管理カード、4か月児健康診査、1歳6か月児健康診査の各問診票の記録から妊娠中、出産後、4か月児健康診査時、1歳6か月児健康診査時の喫煙状況が把握できた512名中、一度でも喫煙経験がある62名(12.1%)を分析対象として関連する要因について検討した。 喫煙状況と選択による複数回答を求めた喫煙理由との関連では、妊娠中喫煙有りでは喫煙理由「我慢できなかった」と有意に関連し(p=0.16)、出産後喫煙有りと関連した喫煙理由は無かった。4か月児健康診査時の喫煙有りと喫煙理由「我慢できなかった」とが関連する傾向にあり(p=0.72)、1歳6か月児健康診査時の喫煙有りと喫煙理由「なんとなく」とが有意に関連した(p=0.06)。喫煙環境との関連では、妊娠中の喫煙と「夫の喫煙」(p=0.08)、出産後の喫煙と「夫の喫煙」(p=0.79)、「身近な喫煙者」(p=0.13)、1歳6か月児健康診査時の喫煙と「夫の喫煙」(p=0.08)、「身近な喫煙者」(p=0.42)が、それぞれ有意に関連あるいは関連する傾向にあった。4か月児健康診査時の喫煙との関連は認められなかった。 喫煙環境は妊娠中、出産後、1歳6か月健康診査の段階で喫煙との有意な関連があったのに対して、喫煙理由には「夫・家族や身近な喫煙者」が含まれていたが、喫煙との有意な関連は認めらなかった。その理由として、母親が自身の喫煙に夫や身近な喫煙者の影響が大きいことを認識していない可能性が示唆され、再喫煙を防止する留意点と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊産婦の縦断的な喫煙状況と喫煙に関連する要因の結果までは確認できた。本研究は平成27年度に試行した妊産婦の再喫煙ツールをリニューアルしてプログラムを構築し検証することを目的としており、平成30年度が最終年度であった。しかし、本研究がスタートした平成28年度当初は顕著でなかった加熱式タバコが急速に普及している。加熱式タバコは紙巻タバコよりも安全というイメージが先行しているのと同時に、含有するニコチンは紙巻きタバコよりも依存性が高いとする指摘もある。研究途上で科学的エビデンスは十分ではないが、疑われる危険性を回避するのは原則であり。妊産婦の喫煙・再喫煙予防においても同様である。当初の研究計画では加熱式タバコに関する調査項目は含まれていなかったため、改めて追加して調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
翌年度まで本補助事業の期間延長の承認を得た。近年急速に普及している加熱式タバコについて、妊産婦の喫煙・再喫煙、受動喫煙の実態と関連要因を調査する。今回のデータ、結果に加熱式タバコに関する調査結果を加えて、平成27年度に試行した妊産婦の再喫煙予防ツールにどのように反映させるか検討し妊産婦の再喫煙予防プログラムのアウトラインを構築する。複数の市町・保健所の担当者からプログラムの評価を受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊産婦の縦断的な喫煙状況と喫煙に関連する要因の結果は確認できた。しかし、妊産婦の喫煙・再喫煙予防プログラムを検討する上で、近年急速に普及している加熱式タバコに関する結果を反映させる必要がある。本研究では加熱式タバコに関する調査項目を入れていなかったため、当初予定した平成27年度試行の妊産婦の再喫煙ツールをリニューアルしてプログラムを構築する予定を次年度へ繰り越すこととし必要な経費が次年度使用額となった。従って、次年度は加熱式タバコに関する追加調査を実施し、改めて喫煙・再喫煙プログラムを構築し市町、保健所の担当者から評価を受けるための予算とする。
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