研究課題/領域番号 |
16K12330
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
蔭山 正子 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80646464)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 精神障害 / 育児支援 / 親支援 / 母子保健 |
研究実績の概要 |
精神障がい者の育児支援のあり方を明らかにするためにインタビューによる質的記述的研究を実施した。児童虐待対応部署の支援者8名、母子保健部署の保健師7名、健康な配偶者5名にインタビューを行った。支援者・保健師のインタビューデータを分析して、支援の目的、具体的な支援の方法は何かを明らかにした。その結果、相談者と相談関係を築くことが支援を開始するにあたり基盤であり、最も重要であるが、最も苦労している支援であることが明らかになった。 配偶者へのインタビューデータは、精神障がい者との出会い、結婚、育児を通して配偶者がどのような経験をしたかについてそのプロセスを明らかにした。本人の病状が不安定になれば、途端に家庭生活が揺らぐ。特に、双極性障害などで躁状態にある時期では、症状として過度の浪費が発生することがある。疾患の理解や対処の仕方を知らない配偶者にとって、理解し難い「裏切り行為」となり、生活苦とともに夫婦生活の破たんにもつながりかねない。本人が休職した場合などは、配偶者が生活のために就労せざるを得ない場合が少なくない。配偶者が保健所、保健センター、市町村役場に相談できることがわかったところで、平日日中しか開所していないため、相談に行くことが難しい。配偶者は相談する暇もなく、対処方法がわからずに戸惑う。また、育児負担は大きい。しかし、制度利用、制度を知るまでの苦労、職員の知識・経験の不足、マニュアル通りのいわゆる「お役所仕事」、ジェンダーにまつわるの問題などが待ち受けていた。制度利用が進まずに、過酷な日常生活が継続すると、血縁関係のない配偶者は離婚という選択肢を考える。困難に直面している配偶者に、スピーディーに実質的な支援を入れることが、本人の結婚生活を維持させるために重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
支援者および配偶者へのインタビューが進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
精神障がい者本人へのインタビューを進める。インタビューを実施したものについては論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属変更が年度途中に発生したため、研究の開始が遅れたため、支出額が予定よりも少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究活動が軌道に乗ってきたため、予定通りインタビュー調査を行い、プログラムの開発に予算を使用する。
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