研究課題/領域番号 |
16K12331
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 多職種協働 / IPW / 地域看護 / 公衆衛生看護 / 保健師 |
研究実績の概要 |
複雑な背景や要因をもつ子ども虐待の対応においては、多職種連携による協働が重要である。日本では連携のための具体的な方法論が確立しておらず、多職種が関与していたにも関わらず、虐待の重症化や子どもの死亡など深刻な問題に発展した事例が報告されている。本研究では子ども虐待のケアの質向上のために、「多職種連携による協働(Inter professional Work:以下、IPWとする)」を促進するモデルを開発することである。 2016年度は国内外の文献から、子ども虐待事例におけるIPW概念枠組みとその構成要素を検討した。米国では子ども虐待の対応に、医療-福祉-司法における法整備を基盤に多機関・多職種専門家チーム(MDT)が対応しており、それぞれの得意とする領域の問題を相互補完的に組み合わせるともに、「情報共有」「事例を共通理解するモデル」「専門家としてのアイディンティティ」を鍵として活動している(高岡;2013)。英国では、虐待死亡事例の検証から多機関連携において、何が必要だったかを検討し、子どもの虐待対応のための多機関連携の政府ガイドライン「Working Together to Safeguard Children」が示されている。国内文献によると、多職種が協働するため共通のアセスメントシートはあるが、IPWを促進するモデルを示した文献は見られなかった。海外論文に関しては、「Mixed-method study of a conceptual model of evidence-based intervention sustainment across multiple public-sector service settings」(Aarons, G.A.,et.al.;2014)が報告されており、これら海外の文献を参考に日本における活用可能性の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度は研究の第一段階として、年度計画どおり、国内外の子ども虐待に関するIPWの文献を中心に入手し、分析を進めている。子ども虐待のIPWの枠組みや構成要素に関する国内文献がほとんど見られないことから、海外文献でIPWの枠組みや構成要素を示している文献を中心に検討しており、概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に検討を進めたIPW概念枠組みや構成要素を精選し、子ども虐待事例のケアを行っている保健師(15名程度)を対象にインタビューを実施し、子ども虐待対応事例のIPWの実施状況を把握するとともに、IPW概念枠組みと構成要素の適用について検討する。さらに、「IPWが効果的に実践された事例」と「IPWが効果的に実践されなかった事例」から促進要因・阻害要因を検討し、IPW促進モデル(仮)を作成する予定である。
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