研究課題/領域番号 |
16K12331
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | IPW / 子ども虐待 / 保健師 / 連携・協働 |
研究実績の概要 |
複雑な背景や要因をもつ子ども虐待の対応においては多職種連携による協働が重要であり、子ども虐待ケアの実践での実用化を図ることを目的とし、専門職連携による協働(IPW)を促進するモデルの検討、開発を文献やインタビューにより進めている。 これまで子ども虐待事例の支援をおこなっている保健師7人へのインタビューから、関係機関との連携・協働の方法について、『日ごろからの関係づくり』『タイムリーな情報共有』『先を見越して支援者を支えるネットワークを準備する』『各関係者・機関の強みを活かし協働する』の4つのカテゴリが抽出された。 『日ごろからの関係づくり』については「日ごろから関係機関と互いに連絡を取り合う」「関係者が顔を合わせる機会に随時情報共有する」「定期的に情報共有する」で構成された。『タイムリーな情報共有』については「心配な情報をキャッチしたときはタイムリーに関係者で情報を共有する」「訪問後は児童相談所と必ず情報を共有する」「役割分担しながら情報を収集し共有する」「定期的に情報共有する」で構成された。『先を見越して支援者を支えるネットワークを準備する』については「母子に必要なことを見通して保育所や病院とつながり、支援体制を整える」「学校などが長期の休みに入る前など状況に合わせて関係者と対応の検討をする」「地元の産科と連携体制をつくり、早期に支援を開始する」で構成された。『各関係者・機関の強みを活かし協働する』では「母親の生活状況や反応に応じて、関係者の役割分担や関わり方を変える」「年金や家事サービスなど必要な支援機関やサービスにつなぐ」「児童相談所と同行訪問し、お互いの視点や考えの違いを話し合う」「問題内容によっては児童相談所に任せる」で構成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有効なツールの検討・作成に時間を要している。また、実践への適用については保健師を中心とした支援内容の抽出や事例検討会にとどまっているため、今後は児童相談所、民生委員も含めて検討会を開催し連携を促進する方法を検討していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
検討したツールを用いた多職種による事例検討会を開催し、検討内容、検討結果を検証する予定としていたが、COVID-19による影響から、実施は難しく、オンラインでの事例検討や質問紙調査等によるチームワーク分析により評価を検討することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
親族の病気や死亡などにより、一時、研究を中断せざるを得なくなり、研究の進捗が遅れ、それに伴い研究に必要な経費執行が遅れたため次年度使用額が生じた。2020年度にモデル完成に向けた調査、モデル事例検討会の開催等で経費を執行予定である。
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