研究課題/領域番号 |
16K12339
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岩本 里織 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (20321276)
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研究分担者 |
松下 恭子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (10325293)
岡久 玲子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (80515619)
多田 美由貴 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (50732004)
合田 加代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (20353146)
Locsin Rozzano 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (60747814)
谷岡 哲也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (90319997)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保健師 / コミュニティ / ケアリング / コミニティケアリング / 倫理 / 公衆衛生看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、保健師のコミュニティ(個人、集団、地域)に対するケアリングに関する概念の明確化し、保健師のコミュニティケアリングの態度・思考に関する測定用具の開発すること、さらに保健師のコミュニティケアリングの思考・態度と保健師の実践力との関係を明確化することである。 2年目である平成29年度において、コミュニティケアリングの概念の一つと考える「ケアリング・コミュニティ」についての概念分析を行い、概念を明らかにした(四国公衆衛生学会,2018)。これは本概念は、「人々が、コミュニティへの愛着を持ち、古い慣習にとらわれない新しい価値観による強い連帯感が生じる状態である。またケアする人・される人が対等な関係性を持ち、共生性と相互扶助性があり、人々に思いやりが浸透し、すべての人々を包摂した社会的排除がないコミュニティの状態である。」と定義できた。さらに、現在コミニティケアリングに関する理論構築を進めており、上記の「ケアリング・コミュニティ」を含む3つの概念から構成されることを仮定している。これは2018年4月(至マニラ)における国際学会にてコミニティケアリングの理論案を報告した。今後さらに、本理論案について検討をすすめ精錬し、論文公表する予定としている。また、1年目に実施したケアリング理論に基づき教育を実施しているフロリダアトランティック大学への視察調査を行い、調査結果を論文にて公表した(JNI,2018.3)。 2年目は、コミニティケアリングの理論の1概念である保健師のコミニティへの思考・態度・思いなどを明確化することを進めてきた。近畿地方・四国地方の行政保健師に、インタビュー調査を実施し、現在のところ5名の調査を終えて分析をしている段階である。本インタビューの結果が、本研究の主目的である保健師のコミュニティケアリングの思考・態度の中心的な概念を形成すると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の遂行にあたって国内文献がほとんどないことから、研究の基盤整備に遅れがでていた。さらに、本研究の当初の目的が、コミュニティケアリングの概念を明確化することであったが、文献検討の結果、コミュニティケアリングの理論構築を行うことが第一に必要であることから、文献レビューおよびインタビュー内容から理論を検討している。このプロセスは、非常に丁寧な分析や検討を要するために時間がかかっており、研究のプロセスが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である今年度は、コミュニティケアリングの理論を整理し、公表を行う予定である。さらに、インタビュー内容から明らかにした、保健師のコミュニティへの思考・態度・思いについて明文化し、項目選定を行うとともに、全国調査を実施し、測定尺度として信頼性・妥当性を検証していく予定である。本成果について、国内外に公表しつつ、特に理論については、国内外の多様な人々の意見を取り入れながら修正を加えて行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度使用額が当初の計画よりも減少した理由は、初年度に実施する予定であったコミニティケアリングに関する文献検討が、文献の少なさのために遅れたこと、次の段階のインタビュー調査の実施も遅れたことにより、本年度予定していた全国調査が実施できなかったことによる。そのため、予定していた備品(パソコン)が未購入であることや調査費用(郵送費、データ入力等の費用、事務処理費)の使用をしていない。次年度については、本年度実施したインタビュー調査等を基に、今年度に調査項目案を検討し、全国調査を実施する予定である。
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