研究課題
本研究の目的は、農山村に暮らす次世代シニア(50-69歳)に焦点を当て、より長く安全に運転できる健康づくりプログラムを開発し、地域の安全な暮らしを支える社会資源の醸成に資することである。基礎資料を得るため、A町と協力し、性・年齢・小学校区で層化無作為抽出した2400人を対象に無記名自記式質問紙調査を行った(有効回答率40.3%)。〔結果1〕 A町は運転免許保有率が全国より高く、高齢者交通事故率は県内上位5位内である。運転セルフケア行動の重要な要素を認識し、自己評価を行い、運転する際の心がけ(補償行動)として、十分な時間を確保する/休憩を取りながら運転する/ゆっくり走ること、内服薬の確認、健康チェックなどをできるだけ多く実行することが、安全な運転の継続へつながると考えられた。〔結果2〕 回答者の約4割が認知症予防行動を実施しており、性・年齢、関心、認知症者との接触体験が関連した。予防行動実施者には、その行動が効果的で意義ある旨をフィードバックし価値づけて継続を促す、未実施者には実施者の具体的な内容紹介により身近なロールモデルを想起する働きかけ、認知症は予防できる信念を生み出す情報提供が有効であると示唆された。〔結果3〕 回答者の約4割が何らかの地域活動に参加し今後の継続意志を有し、現在は参加ないが将来への参加意志をもつ住民と併せ6割強であった。意識の高い女性を入り口に、地域への愛着やリテラシーが高い男性を発掘し、同年代の男性で自由に組織作りができる支援が求められる。以上の結果と文献検討から、次世代シニアが運転者本人や家族の立場で健康管理の意識を高め、運転と関連する身体的健康度の測定や運転セルフケア行動の自己点検によって、より長く安全に運転できる健康づくりプログラム「安全運転継続へのセルフケア講座」を考案し、介護予防事業や地域福祉専門職の研修等で周知を図っているところである。
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四国公衆衛生学会雑誌
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日本公衆衛生看護学会誌
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