研究課題/領域番号 |
16K12347
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
平野 かよ子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10119381)
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研究分担者 |
春山 早苗 自治医科大学, 看護学部, 教授 (00269325)
久佐賀 眞理 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10312167)
藤井 広美 了徳寺大学, 健康科学部, 准教授 (10336844)
山口 佳子 東京家政大学, 看護学部, 教授 (20317762)
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
小西 かおる 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60332376)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保健師活動評価 / 評価指標 / 保健師 / 政策統計 / 統計項目 / 政策提言 |
研究実績の概要 |
本研究は、Avedis Donabedianが提示したケアの質評価の「構造」「プロセス」「結果」の枠組を基として開発した保健師による保健活動の評価指標1)を、保健師活動の統計項目に導入されることをねらいとした。保健活動の評価の範囲は、母子保健、健康づくり、高齢者保健福祉、精神保健福祉、感染症対策、難病保健の6分野である。これらの評価指標は保健師個人あるいは組織毎の保健活動を評価することに有効であることを論証している2)。しかし、保健師には住民、他機関等と連携・協働し、すべてのライフステージにおける人々を支援する地域包括ケアシステムの構築が期待され、その期待に応えるものであることを示すことが喫緊の課題である。そこでこれまで開発した評価指標を用いた保健活動の評価が実践レベルで普及するとともに、評価項目が政策統計等の報告事項に加わり、自治体あるいは国レベルで保健師活動の質を評価し有用性を示せることをねらいとした。 平成28年度は、当初の予定にはなかったが、政策統計の報告項目としての適用可能性を検討するため、これまでに開発してきた評価指標の信頼性と妥当性等について統計学的に検証を行った。また、厚生労働統計の中の「地域保健・健康増進事業報告」の報告事項の分析を行った。 1)平成27年度厚労科研政策科学(政策科学推進)研究事業、保健師による保健活動の評価指標の検証に関する研究(平野かよ子)、 2) 森本典子、平野かよ子、評価指標を用いた評価活動の成果と課題~組織における実践知の形式知化の過程~厚生の指標Vol.64(9)発表予定
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.政策の根拠となる統計項目の作成:自治体および保健所保健師を対象に評価指標を用いて評価する調査を実施した。方法はこれまでの協力自治体および無作為抽出した保健所に評価指標を用いて評価する調査票で実施した。調査票の配布数、回収数、回収率は全体で配布数:631 回収数:305 回収率:48%であった。
調査結果を統計的に解析し、評価指標間の相関の強さから指標を絞り込み、評価指標の信頼性(クロンバックα:0.9)と基準関連妥当性、内容妥当性を検証し、保健師集団による評価として有用な評価指標の精緻化を図った。
2.政策統計、自治体レベルの報告事項の調査・分析:厚生労働統計の中の「地域保健・健康増進事業報告」の報告事項の母子保健、健康増進、精神保健、難病保健に関する報告事項の調査を行った。その結果「連携・協働」に関する項目はあまり見当たらず、保健活動のプロセス評価に関する報告項目が極めて少ないことを明らかにした。自治体レベルのプロセス(取り組状況)評価の集積が国レベルでのプロセス評価になることから、まずは自治体レベルの統計項目にプロセス評価に加わえることの重要性を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
【平成29年度】 政策統計項目として妥当な評価指標の開発として、保健師以外の関係職種(政府統計を熟している事務職)の協力を得て、評価指標項目を絞り込み、自治体レベルの報告事項との関連、政策統計としての適用可能性を調査する。また、絞り込んだ政策統計としての適用可能性のある評価指標の検証のため、市町村および保健所の保健師さらに保健師以外の関係職種(政策統計を熟知している事務職)を対象に調査を行う。 【平成30年度】 政策統計項目としての評価指標の活用と普及:学会や雑誌への研究成果の投稿、自治体および保健所で開催される研修会などを利用し、評価指標の活用と普及を図る。また、政策統計として活用することの施策提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で用いた評価指標は、保健師の実践知を形式知化して構成する質的研究手法で行ってきていたものであるが、当初の研究計画にはなかったが、班会議において論議した結果、評価指標の統計学的な解析を行い、政策統計項目とする指標のを絞り込む根拠とすることとした。予定していた班会議の2回をメイル会議に変更し、主に旅費をその他(調査費)に充てた。また、調査も一部メイルで依頼し回収する方法を取ることができたことで、次年度使用可能な研究費の残額が発生した。 次年度は、自治体において保健統計に携わっている職員を対象に、評価指標の施策統計としての適応可能性につての聞き取り調査を計画している。聞き取り調査の内容は許可を得て録音し、発言内容の質的分析をより充実させる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、配分額1,600,000円に繰り越した715,719円を合算し2,315,719円とし、物品費:100,000円、旅費:800,000円、謝金等:1,000,000円、その他:415,719円と旅費と謝金,その他を増額する計画である。
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