研究課題/領域番号 |
16K12348
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
谷山 牧 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (40413166)
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研究分担者 |
山下 留理子 国際医療福祉大学, 大学院, 准教授 (90380047)
保母 恵 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (20757603)
藤田 千春 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 准教授 (70383552)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生活保護 / 就労支援 / トラウマ・インフォームド・アプローチ / 福祉から就労 / ストレスコーピング |
研究実績の概要 |
近年、稼働年齢世代の生活保護受給者が増加しており、先進諸国では能力のある生活保護受給者に就労を求める政策、Workfareが進められている。我が国においても2005年より就労支援事業が開始された。しかし、受給者の健康状態を明らかにすることを目的とした調査や、介入効果の評価は行われてこなかった。本研究は、就労準備支援事業の対象者や生活保護受給者のうち、就労準備を行う生活困窮者の心身の健康状態の特性を把握し、健康管理スキル、自尊感情向上を目的としたプログラムを開発し、評価することを目的とした。 2016年に実施した当事者31名へのインタビュー調査の結果、就労支援を受ける生活困窮者は【他者から理解されがたい持続的な苦痛】、 【ストレスへの脆弱さ】、 【社会的適応力の困難さ】などの複合した健康課題が存在しており、これらの課題にはトラウマティック・ストレスが影響を与えている可能性が考えられた。このことから、2019年度に就労支援を受ける生活困窮者へのトラウマ・インフォームド・ケア(TIC)を基盤としたストレス対処講座(講座)を作成し、 評価を行った。 講座は「自身のストレスやその対処法を意識し、より効果的な対処法を実践するための方略を探ること」を目的とし、呼吸法やヨガの実践も含めた全7回で構成した。講座に関わるスタッフはTICを意識した支援を実施した。講座参加者8名のプログラム前後のストレス反応、精神的健康度、 自尊感情スコアの比較を行ったところ、ストレス反応のうち「不安感」の有意な低下が認められた。他の項目についても有意差はなかったものの、ポジティブな変化がみられた。実施後に行ったインタビューでは、ほとんどの参加者が、講義内容のほかに、スタッフや他の参加者との交流が持てたことを高く評価していた。対象者が限られているため、今後もプログラムの実施と評価を継続していく必要がある。
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