研究課題/領域番号 |
16K12350
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
奥野 みどり 群馬パース大学, 保健科学部, 講師 (80644484)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保健師 / 発達障害 / 早期発見 / 早期介入 / 行動観察 |
研究実績の概要 |
1.群馬県内の2市町村においてSACS-Jを継続実施し、新規に鳥取県倉吉市が今年度から取り組みを始めている。開始に当たり、鳥取県環境学術等振興事業の中で研修会を倉吉市、米子市で実施した。また、SACS-Jを継続実施している2市町村は、厚生労働省・国立リハビリテーションセンター発達障碍情報支援センターの視察を受け、そこで1歳半健診等における発達障碍の早期発見介入に関する課題を提示した。平成26年度から継続的に群馬県内では、1歳半健診の発達障碍の早期発見・介入支援に向けた行動観察に関する評価のスキルアップ研修を実施しており、現状とともに課題が明らかになっている。2.1.を受けて、e-ラーニング教材を開発するため、その動画作成を行った。概ね構成を終了し3月に試行実施として、群馬県で実施された研修会において一致率を評価している。3.e-ラーニングシステムとして、使用可能な状態となるよう個人情報管理も含めた技術的な段階になっている。4.SACS-J行動観察等課題項目とASD診断との関連に関する研究は、平成23,24年度出生の対象時のデータがまとまり、分析中である。 以上から、2つの課題が明らかになった。 1.発達障害の早期発見や支援に向けた社会性の発達を評価するための健診票の見直しの必要性が明らかになった。2.保健師の社会性の発達を評価する支援技術スキルには市町村間、各個人においても格差が認められた。また、研修後のアウトプットは個人に委ねられている状況から、質の担保につながらない現状が明らかになった。今後は、研修体系等を含めた支援技術の向上を実現できる体制づくりが望まれる。3.コホート調査から、社会性の発達を評価するスクリーニング項目とASD診断やその他の疾患との関連も含めて検討した結果、実施しているスクリーニング項目との関連が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1:質問紙を作成し、群馬県内35市町村の1歳半健診に従事する保健師研修会において保健師の発達障害児の把握及び事後指導等に関する評価技術等に関する調査を実施した。 研究2:第2コホート調査を継続的に実施し、第1コホート調査と合わせ、ASD診断のある児とASD以外のその他の診断のある児と診断の無い児と経過観察されている児の4群に分けて、社会性の発達の各項目との関連を調査し、平成30年1月日本公衆衛生看護学会において発表した。 研究3: 1歳半健診における保健師の社会性の発達を評価する技術として、研究1・2から得られた社会性の発達の関する行動観察項目を検討し、e-ラーニングを制作中である。
行動観察の実施を含めたe-ラーニングの作成が、概ね終了している。今後は、その教材を使用し信頼性の検討に入る。これにより、市町村の保健師が研修会への参加という形式を取らずに自席において学習をする機会につながる。よろ多くの方々に利用しやすいよう検討を重ねたい。 2.乳幼児健診時に並行してSACS-Jを実施しており、コフォート調査は3年次が終了し4年次に入っている。継続的な支援をとおして、乳幼児健診においてスクリーニングされた対象の経過を追うことができている中で、ASD等の診断の有無を含め診断につながる対象が明らかになっている。診断とSACS-Jとの関連についても、継続して分析を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
1.1歳半健診に従事する保健師が社会性の発達を評価するための項目を提示し、保健師間の各項目の評価技術についてのe-ラーニング教材から、習得度合いを調査する。また、その教材の信頼性の評価を実施する。 2.その教材を使った保健師の社会性の発達の評価技術の取得に向けた取り組みとして、群馬県内および協力市町村において研修会を実施する予定である。 3.乳幼児健診時に並行してSACS-Jが実施され、6年目を迎える。コフォート調査から得られた分析結果から、ASD等の診断の有無を含め診断につながる対象が明らかになってきている。これらを踏まえ、SACS-Jを行動観察等課題項目を見直す取り組みを検討する。
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