研究課題/領域番号 |
16K12351
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
中田 晴美 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (90385469)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 便失禁 / 介護予防 / 地域在住高齢女性 |
研究実績の概要 |
今年度は、A区で開催された尿失禁予防講演会(対面とオンライン配信のハイブリッド方式)に参加した方の中で、便失禁経験者への半構成的面接を行った。 対象者は62歳女性であり、尿失禁の頻度は「週に1回程度」、3か月前から月に1回程度、下着に便がつく程度の便失禁があり気になっているが、「どこに受診したらよいかわからない」ので、そのまま「下着をかえる」「生理用パッドをあてる」という対応のみで様子をみていた。便失禁発症時の状況は、「排便がしたいと思ったら少し出た」「おならかと思って出したら便も一緒に出た」ということであった。他にも「尿失禁も経験しているため、区の広報を見て講演会に参加しようと思ったが、女性は特に骨盤底筋が弱くなることで骨盤性器脱や便失禁を起こす可能性もあるということを聞き、自分の便失禁も骨盤底筋が原因で、特別おかしいことではないと安心できた」、「今回オンライン方式なので参加申し込みをしたが、やはり直接お話を聞いてみたいと思い切って会場にきた」、「一度受診したいと思う」「骨盤底筋体操も実施してみたい」との発言が得られた。 この対象者は、これまで本研究で明らかとなってきたDouble Incontinenceの事例であった。やはり便失禁に対する羞恥心が強く放置していたが、講演会に参加し正しい知識を得ることで「特別なことではない」「安心できた」という前向きな気持ちになり受診行動につながった。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、地域で開催される講演会でもオンライン方式が取り入れられるようになってきたが、機器の扱いが不得手な高齢者が不参加となる反面、「オンライン方式だから参加したい」と一人で悩んでいる対象者に情報が行き届くことが明確となった。さらに事例の積み重ねをしていくことで、新しい生活様式下における包括的排泄ケアプログラムの開発を行う必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、地域在住高齢女性における便失禁の現状を把握し、便失禁予防・改善にむけた包括的排泄ケアプログラムの開発を行うことを目的としている。本研究を進める上で、元々、地域在住女性高齢者における便失禁者の事例が少ないため、毎年事例を積み重ねてきていたが、これまでのような対面型の調査の受け入れが困難な状況が続いていることに加え、2021年度にも緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発令されたことにより、さらなる遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度中に、地域の地区組織活動団体参加者への質問紙票の配付、およびインタビュー調査の承諾を得られているものの、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発令により延期となっているため、感染拡大状況を見ながら、調査を再開する予定である。また、2021年度に行った講演会先の機関より、研究協力の承諾が得られているため対象者を拡大して調査を行っていく。さらに、コロナ禍により従来の参集・対面型での調査が困難な状況にあるため、質問紙票の郵送方式と同意が得られた方に対するICTを活用したオンラインでのインタビュー調査を導入していく。これらの調査から得られた情報を基に、便失禁の発症に関連する要因分析、便失禁が女性高齢者のQOLに与える影響及び、対処行動について概念枠組みを行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究対象者を便失禁を有する地域在住女性高齢者としているために症例数が少なく、研究対象者数を確保するのに時間を要していることに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、対象者との接触が制限され、研究遂行に遅れが生じている。 (使用計画)次年度も引き続き質問紙調査の郵送費、インタビュー調査対象者への謝礼、インタビュー調査データの逐語録作成および質問紙調査データ入力作業補助のための補助員謝礼、調査のための研究代表者交通費、消耗品等を研究を遂行するための主な費目として執行する。
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