研究課題/領域番号 |
16K12353
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
鈴木 知代 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (50257557)
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研究分担者 |
伊藤 純子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (10436959)
深江 久代 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (30300172)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 公衆衛生看護管理 / クレーム対応 / 保健師のスキルアップ研修 |
研究実績の概要 |
1.全国1,924か所の市区町村を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。目的は、管理的立場の保健師を対象としたクレーム対応研修プログラムを開発するために、市区町村の母子保健担当部署において管理的立場の保健師が経験するクレームの実態、組織の対応や課題を明らかにすることである。質問紙を郵送し2019年10月31日までに投函してもらう方法をとった。調査対象市区町村は、インターネットを利用し各県市区町村の母子保健担当課を検索し、住所、名称を確認し質問紙を郵送した。有効回答数は、528通、回答率は27.4%であった。量的な部分の分析は終了し、質的な部分の分析を現在行っている。 2.これまで研修に使用していたテキスト「クレームを活用した保健師のスキルアップ研修」を改定し、内容を修正・追加した。新しく追加した内容として、「クレーム対応を活かす」項目を追加し、教育や業務改善、組織改善に活かす具体的な方法を提示した。また、「ケースメソッドを活用したスキルアップトレーニング」項目については、ケースメソッドケースを追加し、いろいろな場面を想定してトレニングができるように工夫した。 3.改定したテキスト「クレームを活用した保健師のスキルアップ研修」を使用し、ワークショップを開催した。開催場所は、2019年度日本公衆衛生看護学学会、日時は2020年1月11日である。参加者は38名であった。目的は、クレームが保健師のスキルアップや業務改善につながることが理解できること、全国の保健師が参集するため、クレームに関する各施設における情報交換である。6グループに分かれ、活発な情報交換ができた。 4.研修に活用するDVDの作成を行った。クレーム対応の基本姿勢を説明しているが、具体的な対応がイメージしにくいとの参加者の声より、クレームを訴える住民に対して保健師が対応する場面のシナリオを作成し撮影し、DVD化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的は、「住民クレーム」を積極的に活用し、看護の質を高めるための公衆衛生看護管理プログラムの開発である。これまで、研修を実施・評価し、プログラムの開発を行ってきた。保健師個人のスキルアップにつながるクレーム活用の方法については、プログラムが完成している。業務改善に活かすためのプログラムについても、具体的な内容の提示が完成している。しかし、組織改善に活かすための具体的な方法についてのプログラム内容が不足している点がある。そのため、2019年度は管理的立場の保健師を対象に、無記名自記式質問紙調査を行い、実態、管理的立場の保健師の考え方などを分析することにより、組織改善に活かすためのプログラム開発に努めてきた。また、クレーム対応の基本姿勢についての具体的な方法が理解できるように視聴覚媒体の作成も行った。 やや遅れている点として、管理的立場の保健師を対象とした全国調査結果の分析が不十分であり、研修プログラムに十分に反映されていない点がある。特に、組織改善の具体的な方法についての検討を、さらに進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に行った「住民クレーム(苦情)に関する管理的立場の保健師への実態調査、市区町村の母子保健事業に焦点を当てて」の質的な分析を今後さらに進め、公衆衛生看護管理能力向上のための教育プログラムの不足している点である、組織改善の具体的な方法の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国調査「住民からのクレーム(苦情)に関する管理的立場の保健師への実態調査、市区町村の母子保健事業に焦点を当てて」の分析結果について学会発表を行う予定であったが、分析が不十分のため、学会発表までには至っていない。そのため、学会参加費と旅費について残高が発生した。計画としては、分析を完成させ、学会発表を行う。その後、調査結果を「クレームを活用した保健師のスキルアップ研修」プログラムに反映させる。
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