研究課題/領域番号 |
16K12359
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研究機関 | 広島都市学園大学 |
研究代表者 |
岡平 珠才子 広島都市学園大学, 健康科学部, 教授(移行) (60441557)
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研究分担者 |
梯 正之 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (80177344)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヘルスリテラシー / 尺度開発 / 特定健診 / 特定保健指導 / 健康の社会経済的要因 / 保健指導評価 / アウトカム評価 |
研究実績の概要 |
初年度は先行研究から考案した調査票の内容を共同研究者・連携研究者で確定した。広島県下の市町に研究協力の打診と依頼を行った。協力の得られた1市1町で、本研究の目的である「ヘルスリテラシー尺度開発」の為の調査を行い、前年度末(H.29.3月)までに69件の調査票を得た。(調査期間:4ヶ月)当該年度(H.29)に入り、これを予備調査として欠損値を除く66件で項目確定の為の因子分析を行った。最終的な因子抽出後の共通性の値は特に際立った1以上又は0に近い値は認められなかった。ガットマン・カイザーの基準によって最小の固有値を1とした条件で抽出し1以上の値を持つ5つの因子が抽出された。内的整合性をみるCronbachα係数 は.823であった。属性や社会経済的要因・主観的健康感に対してもクロス集計及び各因子間の相関分析を行った。結果は「予想外の出費への心配」と「健康状態ー主観的健康感」、「予想外の出費」と「経済的余裕」、「年収」と「予想外の出費・経済的余裕」、「年齢」と「教育年数」にそれぞれ相関がみられた。予備調査結果について各自治体に報告し、第26回日本健康教育学会学術集会(H.29.6.24・25)への演題発表の許可を得た。その後予備調査を踏まえた本調査を開始した。8月~9月には対象自治体が2町加わり1市3町となった。先行の2自治体は、それぞれ当初予定していた1年間の調査期間を12月末・1月末に終了した。2自治体の調査件数は合計で221件にのぼり、質問項目数(20)×5~10倍=100~200件以上に達した。(H.30.3月)内訳は市:171件、町:50件であった。また、本研究の調査対象者は特定保健指導の対象者であり、H.L尺度開発の為の調査に加え、本人が情報提供に同意をした場合は自治体担当課の協力により、特定健診結果・生活習慣質問票のデータ供与を得ている。(221件中131件)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
回収した予備調査結果69件=無効解答を除く66件の分析を探索的因子分析で行った結果と、属性・社会経済的要因をみる調査結果とその相関分析について、第26回日本健康教育学会学術集会(H.29.6.24・25)(早稲田大学早稲田キャンパス)で発表した。 本研究の目的は仮説尺度(モデル)である情報の「入手・理解・評価・活用」の潜在因子(共通因子)のモデルがいかに適合するかを見極めることにある。そのため、予備調査結果の66件で分析ソフトAmosを用いて、確認的因子分析(共分散構造分析)を行った。仮説モデルの適合度は標準化解が0.5未満であった項目を除去したパス図で検証を行った解析結果では、適合度指標はそれぞれGFI=0.787,AGFI=0.705,RMR=0.050,RMSEA=0.081であった。情報の「入手・理解・評価・活用」の潜在因子(共通因子)の構造方程式モデリングを再考し、本調査に向けて適切な尺度への解釈が課題となった。本調査221件の調査票の回収はH30.3月末で終了している。
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今後の研究の推進方策 |
回収済みの標本221件でさらに因子分析、共分散構造分析を行う。分析の結果得られたヘルスリテラシー尺度の活用について検討する。ヘルスリテラシー測定結果と保健指導結果(ヘルスアウトカム)との関連を分析し、尺度の信頼性・妥当性・再現性について検討・評価を行う。(尺度評価) 同意の得られた健康情報(健診結果・生活習慣結果データ)を尺度評価に活用する。 本研究の尺度開発は、先行研究であるNutbeamによる14-item Health literacy Scale(HLS-14)(Suka Mら)及びCmmunicative and Critical Health Literacy(CCHL)日本語版(石川ら)から導いた尺度項目に、特定保健指導用の文言(メタボ健診結果の改善)に修正・追加し尺度項目を作成している。HLS-EU-Q47などの尺度は、ヨーロッパ8か国やアジアにおける比較調査など国際的な測定尺度の検証が進められている。日本語版にした際の健康情報の「入手・理解・評価・活用」に該当する言語の共通認識と解釈が求められる。 開発・確定されたHL尺度は,実際に特定保健指導者のヘルスリテラシー測定に活用し、尺度の信頼性・妥当性・再現性について引き続き検討を重ねる。保健指導対象者のヘルスリテラシー測定に活用するために、健康情報の「入手・理解・評価・活用」を評価するため の点数化について検討する。実際の保健指導場面で測定・活用できる「ヘルスリテラシー測定マニュアル」を作成する。また、健康情報の獲得力=ヘルスリテラシーの概念を広めていくための広報媒体(パンフレット)作成を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.データ入力・集計作業の委託料の支払いが次年度(H.30年度)になった。 2.調査票の封入、切手貼付、郵送作業を学生アルバイトで予定していたが、学生が多忙な時期と重ったため教員が行い、人件費の執行が減額となった。 3.共同研究者への分担金を次年度(H.30)にまとめて支払うことになったため。
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