研究実績の概要 |
広島県下の自治体で実施する特定健診後に特定保健指導の対象になった住民を対象に,2016年12月~2019年6月の期間で4つの自治体に調査を行った。調査票回収件数393件(回収率56.2%),有効回答率91.0%であった。調査項目は,属性:1.性別2.年齢 3.世帯構成,社会経済状況:4.教育年数 5.職業 6.世帯年収 7.予想外の出費 8. 経済的余裕,健康状態:9.主観的健康感の9項目とし「ヘルスリテラシーの質問項目」は①情報の入手:7項目②情報の理解:5項目③情報の評価:5項目④情報の活用:3項目の20項目とした。 【探索的因子分析結果】2013年にSorensenが示した測定ツールのHLS-EU-Q47で示された4つの能力(健康情報の入手・理解・評価・活用)を潜在因子に採用し,20の質問項目を用いて分析を行った。探索的因子分析の結果,4つの因子が抽出され第一因子は「情報の理解の項目」が4項目「評価の項目」が1項目「活用の項目」が2項目であった。第二因子は「理解の項目」が3項目,「評価の項目」が1項目「活用の項目」が1項目であった。第三因子は「情報の入手の項目」が5項目であり,第四因子は「情報の評価の項目」が3項目であった。信頼係数のクロンバック(cronbach)のα係数は第一因子:0.866,第二因子:0.859,第三因子:0.861,第四因子:0.730であった。 【確認的因子分析(共分散構造分析)結果】「情報の入手・理解・評価・活用」の因子構造モデルの適合度を見た。分析の反復の中で最も適合度が高かった指標はGFI=0.912,AGFI=0.845,CFI=0.955,RMR=0.031,RMSEA=0.088であった。この結果を基に「情報の入手・理解・評価・活用の各ヘルスリテラシー能力測定ツール」を開発した。当該能力と「社会経済格差」についても検討を重ねた。
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