研究課題/領域番号 |
16K12365
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡部 信一 東北大学, 教育情報学研究部, 教授 (50210969)
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研究分担者 |
佐藤 克美 東北大学, 教育情報学研究部, 准教授 (40611182)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 震災復興 / 郷土芸能 |
研究実績の概要 |
28年度の計画は以下の通りである。 実際に、無形民俗文化財に対しデジタル技術を活用することにより、その保存・継承を支援してゆく。無形民俗文化財のデジタル化を実施しながら、無形民俗文化財の関係者・地域の人々が「地域コミュニティ再生について何を望んでいるのか、どう考えているのか」についての調査を実施する。同時に、震災後4年間に得られた無形民俗文化財振興や地域コミュニティ再生に関する調査・取り組み例をまとめ、本研究への応用可能性を検討する。 それをふまえ、以下の研究を行った。(1)震災被害の大きかった宮城県南三陸町の祝福芸、石巻市の太鼓、獅子舞等の無形民俗文化財に対しビデオ撮影、モーションキャプチャを行い、その芸能の保存を支援した。 (2)岩手県大船渡市の剣舞、福島県相馬市田植え踊りを対象にタブレット上で表示可能なコンピュータグラフィックスによる、無形民俗文化財の教材を作成した。また、それらを携帯端末で視聴可能なバーチャルリアリティ映像として公開した。さらにはオキュラスリフト等のバーチャルリアリティ機器で再生可能なコンテンツに改良した。(3)石巻市の太鼓、獅子舞、南三陸町の祝福芸の無形民俗文化財の関係者にインタビューを行い、芸能関係者、また地域の人々が「地域コミュニティ再生について何を望んでいるのか、どう考えているのか」について調査した。また、震災復興事業を行っているNPO等と協力し、デジタルが地域振興にできることについての整理をし、2年目以降具体的な支援に乗り出すための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
郷土芸能関係者が離散しているなどの理由で活動そのものが困難になっている芸能もあり、モーションキャプチャのための日程調整に難航した。また、バーチャルリアリティ再生機器の納入が遅れ、コンピュータグラフィックスの作製、バーチャルリアリティコンテンツの作製がやや遅れた。しかし、機器の準備は本年度中に終わったため、29年度は順調に進められる準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
28年度の研究をふまえ、デジタル技術を活用した無形民俗文化財振興策を実際に展開し、その効果と問題点について明らかにする。 具体的には、広報誌による発信(QRコードを利用したARコンテンツ)、Webによる発信(映像やアプリ)、博物館(VRコンテンツ・プロジェクションマッピング・ホログラム)等による発信を計画している。また複数回にわたりインタビューやアンケート等を実施し、その効果を調査する。「地域コミュニティ再生がはかられたかどうか」については無形民俗文化財に対する地域の人々の評価について調査する。さらに、「お祭・イベントへの参加意識の変化」の他、Web閲覧者数や、Webにより発信したことによる地域の人々の意識変化を調査し、地域コミュニティ再生にどのような影響があったか明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の納入が遅れたこともあり、人件費等が予定より支出できなった。
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次年度使用額の使用計画 |
専用のホームページを立ち上げる予定であり、その製作費用、維持のための人件費、サーバー代にあてる。
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