研究課題/領域番号 |
16K12376
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
石川 永子 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 准教授 (00551235)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 避難環境 / 借上仮設住宅 / 熊本地震 / 首都直下地震 |
研究実績の概要 |
本研究は、広域災害後(首都直下地震を対象とする)の避難から仮住まい円滑化への支援策・事前の広域的な需要供給シナリオの検討を行う。 首都直下地震の想定被災地のうち、甚大な被害が予想される東京都および周辺県の住民に対して、仮住まいの条件(立地・間取り等)に関するウェブアンケートを実施することと、民間賃貸空き家・空き公営住宅・建設仮設住宅が建設可能な公共敷地等を把握し、被害想定をもとに避難~仮住まい~住宅再建の複数のシナリオを作成し、需要供給に関する課題を明らかにする。 首都直下地震の発生時における避難から住宅再建のうち、特に、避難から仮住まいへの移行の円滑化(その後の住宅再建への影響への配慮を含む)について、具体的な量的な検討等は行われていない。実際の仮住まい(特に借上仮設住宅)の運用に関する課題や戸数の推定に基づくシナリオの検討と対応についての検討は行われていない。一方で、昨今、災害時以外の通常の空き家対策はすすめられており、これらの施策との連携の余地もある。また、横浜市や液状化や宅地被害等の多様な被害が想定されており、住宅再建支援制度の多様な選択肢が求められる。 以上のように、首都直下地震後の広域的な被災者の移動と仮住まい需要の検討と対応に向けてのしくみづくりは重要である。 H28年度は、採択直後の4月に発生した熊本地震のうち、本研究と関連性のある、都市型の避難事例として、熊本市での避難所悉皆調査とその分析を行い、その成果を公表することに力を入れた。その後は、熊本地震等における避難所解消から仮住まいへの過渡期の行政対応や、新たな支援スキームの効果などをヒアリング調査等で把握するよう努めた。 また、国の関連委員会等の委員として、仮住まいの課題の整理の議論に参画し、研究成果の妥当性や実効性などについても検討しながら、研究をすすめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4月に発生した熊本地震のうち、本研究と関連性のある、都市型の避難事例として、熊本市での避難所悉皆調査とその分析を行い、その成果を公表することに力を入れた。 その後は、熊本地震等における避難所解消から仮住まいへの過渡期の行政対応や、新たな支援スキームの効果などをヒアリング調査等で把握するよう努めた。 また、国の関連委員会等の委員として、仮住まいの課題の整理の議論に参画し、研究成果の妥当性や実効性などについても検討しながら、研究をすすめた。 また、横浜市内での調査についても、関係者と調整しながら準備をすすめている。
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度は、4月の熊本地震の熊本市における避難所調査の研究成果の反響が予想以上に大きく、これらの論文発表や各種講演・市議会参考人招致等を通じてアウトプットに力を入れた。また、後半は本研究とほぼ同じ内容の国(内閣府防災)の検討会の委員となったため、国等の政策の方向性を見極めると共に提案などに力を入れた。そのため、実施予定であった仮住まいの需要調査が未実施となった。H29年度は調査を実施しつつ、首都直下地震時の広域の仮住まいの需要と供給に関する空間的な分布の把握し、いくつかの新たな施策(補修型借上仮設住宅等)を行った場合の効果を、空間的に把握することを目指す。
|