最終年度は、研究開始から実施してきたアンケート調査・目視環境調査(熊本地震熊本市避難所)、被災者の住まいの再建に関する勉強会でのヒアリング記録(西日本豪雨)、避難所運営者へのヒアリング調査(熊本地震)等の避難所の環境とそこに避難している被災者の再建に関するニーズについて、データを再整理し、考察を行った。また、借上げ仮設住宅等に関する条件緩和等についての情報収集を行った。 さらに、2019年台風15号によって、内水氾濫がおきた川崎市の住宅地において、被災家屋の状況や居住者の住環境におけるニーズについて、聞き取り調査を行った。2019年は、千葉や長野や東北も含め大規模な水害にみまわれ、神奈川県の多摩川流域、それも内水氾濫による住宅地の被害状況は、浸水家屋棟数が多いにもかかわらず人的被害が他と比べ小さいこともあり、報道なども少なかったが、市街地での広域な水害による被害や住宅地の微地形による被害の状況、特に周辺より低くなっている住宅で浸水深が大きかった被災家屋における仮住まいや修理、床や壁の乾燥などの緊急ニーズやそれに対する支援のありかた、また、都市部に多い準工業地域が開発されたことによる住宅地内の小規模工場の混在と小さな水路の混在による住宅地の家屋の被害の出かた等、都市水害における避難生活や仮住まい、再建に向けた重要な課題を整理することができた。 また、年度末から感染が流行した新型コロナ肺炎のなかでの自然災害による避難とその避難生活、仮住まいのありかたについても、現在課題となっているが解決していない問題とからめ、考察を行った。
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