本研究の目的は,成分が±1である n次正方行列で行列式の値が大きくなるものを構成すること,および値が大きくなる理由の解明である.このような行列は実験計画法において実験を効率よく行うために用いられる.本研究では,構成方法として円分体の相対類数の行列式公式を提案すること,このような性質をもつ行列の特徴づけることを目標としている.このような目的意識のもとで,下記の結果が得られている.なお,本研究に直接関係する講演発表は4件行った.北陸数論セミナー1回,研究集会「実験計画法ならびに情報数理と関連する組合せ構造 2018」1回,日本応用数理学会 「数論アルゴリズムとその応用」研究部会 (JANT)1回,●第4 回 組合せ論・モデル理論セミナー【招待講演】1回. Kummer予想の仮定の下,素数p円分体の場合について±1成分Demjanenko行列のD-efficiencyの極限値を求めた.Kummer予想の仮定を外して無条件に成立主張を構成するために,相対類数の評価式を踏まえて詳細を検討中である.また,合成数n円分体の場合に対応する予想を定式化することも課題である. 2019年10月31日~11月3日の実験計画法の研究集会「実験計画法ならびに情報数理と関連する組合せ構造 2018」に参加し,講演発表を行った.会場にて知り合った研究者たちからコメントやアドバイスをいただき,組み合わせ論の観点やグラフ理論の観点,確率分布の観点,実学への応用の観点からこの行列を解釈する必要があると判明した.
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