研究課題
挑戦的萌芽研究
新たな相対類数の行列式公式に関して,0,±1成分を持つ行列,Demjanenko 行列と2次指標を組み合わせた行列を構成した.円分体の相対類数の計算を2^31円分体などに対して行った.これは約5億次行列の行列式を計算したことに相当し,行列式として直接計算するのは非常に困難な対象でも計算可能であることを実証した.素数p円分体の場合のDemjanenko行列式の桁数およびD-efficiencyの漸近的挙動の予想を定式化し,前者は特別の仮定なしに示し,後者はKummer予想の下で示した.
代数学, 整数論,計算数論
一般に,組み合わせ最適化に関連した計算の計算量はNP 困難問題であることが多い.本研究で提案する相対類数計算はO(n^2)の多項式時間で実行可能であり,その計算量の評価も行っている.従って相対類数を表現する±1成分の行列式の値も同計算量で求まり,その結果D-optimal design の近似解も多項式時間で得られる.純粋な整数論的対象である円分体の相対類数およびその行列式公式と,具体的な応用の計算の対象であるD-optimal design の間をつなぐ,最初の一歩を本研究では踏み出した.