(1) 複数の読影者から得られたクラスターデータに基づいて、2つの画像診断法に対する非劣性検定を提案し、コンピュータシミュレ ーションや、急性くも膜下出血患者に対して実施した動脈瘤診断 法から得られたデータに本提案手法を適用し、その有効性を確認した。 (2) 複数の読影者による評価データを統合するための多次元変量効果モデルを提案し、それに基づいた感度と特異度の推定法や、感 度と特異度の同時信頼区間の構築法を提案した。(3) 定理証明支援系 Coq とその拡張である SSReflect を用いた、Wang(2010) で提案された代数 系 Cain、とそれに基づく条件付き 独立性の形式化を行った。 (4) 連続変量の離散化を行い、頻度として表に纏めることがしばしばある。このような疎表に基づく「セル回帰分析」の手法を開発 した。セル回帰分析法は従来の回帰分析法や区間回帰分析法の拡張としてみることができる。(5)条件付き独立性の公理論的研究の中で、GraphoidとSeparoidは代表的なものである。代表者が提案した公理系Cainはこれらのアプローチとは異なり、確率密度関 数や確率関数の代数的な性質に着目し、全ての公理を等式で記述する点でユニークである。このことにより、条件付き独立性の公理系であるCainを計算機で実装 することができた。用いた言語はCoqの拡張となるSsreflectである。(6)統計的、計算的、人間的視点から、データサイエンスに関する総合的研究を行い、またこれらの理念を横浜市立大学データサイエンス学部の教育研究に活かすように実践的に取り組んだ。
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