現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、本研究に関連のある学術論文の精査と臨床試験・疫学データ解析から得られるTime-to-Eventの性質の探索を行った。 1.臨床試験や疫学のデータの詳細な解析によるTime-to-Eventの性質の発掘 すでに解析結果が公表されている臨床試験や疫学研究のデータを用いた。具体的には、乳癌関連の無作為化比較試験のデータ(Plos One 2015, Dec 3;10(12))や日本胃癌学会の胃癌登録事業で集積された13万人のデータ(Annals of Oncology 2014, 25(6))を用いて、代理変数、競合リスク、複合リスクの性質を検討した。無再発期間と生存時間との相関、無病期間と生存期間との相関、打ち切り例の発生の独立性の検討、死因の精査を実データに基づき検討した。 2.学術論文等の調査によるTime-to-Eventの性質の発掘 臨床試験の文献を綿密に調査してTime-to-Event解析の問題点の洗い出しを行った。乳癌関連の臨床試験論文を12編(Lancet, New England journal of Medicine, Plos One, Breast Cancer)と糖尿病関連の臨床試験論文8編(Diabetes, Lancet, JAMA)を研究の対象とした。また、バイオ統計学の専門雑誌と臨床試験の統計理論の専門書等から、生存時間解析の手法、既存の関連プログラミング手法、解析上の問題点とその解決策について情報を収集した。具体的には、Stat Med 2010, 29 1724-34, Dejardin, D. et.al., Stat Med 2013, 32 4609-23, Lin, CY and Halabi, S., Circulation 2016, 133:601-9, Austin, PC. et al,を抄読して、Progressive multi-stateモデルの構築、パラメータ推定法、Frailityモデルの導入、競合リスクが存在する場合の生存時間解析の留意点等を確認した。
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