研究課題
臨床試験の評価尺度として、Time-to-Event データ(ある時点から注目するイベントが発生するまでの時間)がしばしば用いられる。他のデータにはないTime-to-Event データの特徴は、イベント発生の観察ができない打ち切り例が存在すること、イベントが複数存在すること、および、複数イベントに相関があることである。本研究の目的は、これらの実用上の問題点を生存時間解析の統計理論とモンテカルロ・シミュレーションにより解決することである。結果として以下を得た;(1)複数のがん関連の無作為化比較試験データを参考に、複数の死因(癌関連死、全身状態の悪化、その他の死因)の発生パターンを統計的に抽出した;(2)特定の死因の症例をイベント発生例、他の死因の症例を打ち切り例とした競合リスクが存在する場合でのログランク検定の性能(サイズ(第Ⅰ種の過誤の大きさ)、検出力など)をシミュレーションにより評価した;(3)主要評価尺度として、複数のイベントのどれかが発生すればイベントありとする複合エンドポイントの場合のログランク検定、比例ハザードモデル解析の問題点の洗い出しとその解決策を理論的に考察した;(4)主要評価尺度を無再発期間、副次評価尺度を生存期間に設定した場合、無再発期間が真の評価尺度である生存期間の代理評価尺度になりうるか否かを検討した;(5)これらの統計的考察とシミュレーション結果を踏まえて、実臨床試験に応用するデザインを考察した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Lancet Gastroenterol Hepatol
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