研究課題
平成30年度は,最もシンプルな判別法の一つである対角線形判別解析(diagonal linear discriminate analysis; DLDA)について前年度までの検討(事前分布に逆ガンマ分布を用いた分散安定化法等)を継続する一方で、生存時間解析への拡張について検討を行った.併せて,予測精度改善の試みとして,L1ノルムを用いた正則化法(特に,線形回帰の設定におけるleast angle regression (Efron et al., 2004)のstage-wise変数選択の切り口)の枠組みで縮小推定量を用いた拡張を試みた.また,二群判別における不等分散を考慮したセミパラメトリック法についても検討した.一方で,本研究の方法論の礎である階層混合モデリングとその推定法の評価の一環として,ゲノムワイド関連研究の一塩基多型データ解析を想定した大規模なシミュレーション実験を行い,モデル推定が概ね安定していることを確認した.前年度に開発した入れ子型混合モデルに基づくがんの異質性解析については,米国の研究者との共同研究として多発性骨髄腫の解析を実施した.これは,健常人,二種類の前がん患者,多発性骨髄腫患者間で網羅的遺伝子発現データを比較することでがん化メカニズムの異質性の解明を目的とする.健常人と多発性骨髄腫の比較については,複数個のがん関連遺伝子群の同定,及び,これに基づくがん患者のクラスタリングを行った.その一方で、健常人、二つの前がん患者,多発性骨髄腫という疾患進行(順序性)を想定したモデルについても検討を行った.
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Computer Methods and Programs in Biomedicine
巻: 168 ページ: 21-37
doi: 10.1016/j.cmpb.2018.10.020
Frontiers in Genetics
巻: 9 ページ: 115
doi: 10.3389/fgene.2018.00115
Scandinavian Journal of Statistics
巻: 45 ページ: 806-846
doi: 10.1111/sjos.12323