研究課題/領域番号 |
16K12403
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
服部 聡 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50425154)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | メタアナリシス / 公表バイアス / 診断法研究 / 感度解析 |
研究実績の概要 |
研究計画として以下の3つのテーマを設定した テーマ1:要約ROC解析に対する公表バイアスの感度解析法 テーマ2:時間依存性要約予測値曲線の推定法 テーマ3:開発した方法による予後因子研究のメタアナリシスの実施 テーマ2については昨年度実施済みであり、本年度はテーマ1ならびにテーマ3についての研究を行った。テーマ1については、基礎となる診断法の場合の方法論を学術専門誌から発表した(Hattori and Zhou 2017)。この論文では二値反応の場合を取り扱っているが、本研究で対象とする生存時間に対してはそのままでは適用できない。本年度の研究で、この感度解析法にHattori and Zhou(2016)で導入した多重代入法を組み合わせることで、時間依存性要約ROC曲線に対する公表バイアスの感度解析法を構成した。テーマ3については文献検索を実施し、同定した研究のKaplan-Meierプロットのデータをメタアナリシス用に作成したが、検索に不十分な点が見いだされ、データの収集方法を再検討した。現在はその方針に従ったデータの作成を進めている。また、新しい研究テーマとして、Hattori and Zhou (2016)で提案したメタアナリシスに基づく時間依存性ROC曲線の推定法の制約を軽減する問題を見出し、研究を開始した。Hattori and Zhou (2016)の方法は、ある固定した時点でのROC曲線を推定する方法であるが、応用上は多時点での同時推測をする必要があり、その拡張を行った。特筆すべき点として、この方法で、生存時間に対するC-indexの推定がメタアナリシスに基づいて行えることがある。本年度の研究で、この方法の理論的基礎付けを完了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマ1については方法の構成は完了しており、予定通りに進展している。テーマ3については、昨年度データを作成したが、不十分であり、現在再度データの作成をやり直している。著しい遅れではなく、あまり時間をかけることなく完了することが見込まれている。また、関連する研究テーマとして、メタアナリシスに基づく生存時間に対するC-indexの推定の問題を見出し、それが実現可能であることを確認した。最終的には今後の数値実験等の結果を待たねばならないが、このような問題意識自体がこれまでにない独自のものであり、本研究の大きな成果となることが期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
テーマ1については、提案する方法を実行するためのプログラムコードを作成し、実データへの適用、シミュレーション実験等による評価を行う。テーマ3については、データの入力が完了しだい、解析を実行する。また新たに見出した、メタアナリシスに基づく生存時間に対するC-indexの推定の問題を推進する。方法論の構成は完了しているが、プログラムコードの作成を行い、数値的に開発した方法の性質を調べる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
情報収集を目的としてメタアナリシスに関するショートコースへの参加を予定していたが、参加可能な適当なコースがなく、昨年度の参加は断念した。研究のまとめには重要であることから、今年度参加を予定している。
|